板野町(読み)いたのちよう

日本歴史地名大系 「板野町」の解説

板野町
いたのちよう

面積:三六・一八平方キロ

板野郡のほぼ中央部にあり、北東は鳴門市、南東は藍住あいずみ町、西は上板かみいた町、北西は香川県大川おおかわ引田ひけた町に接する。北半は讃岐(阿讃)山脈とその山麓部、南半は吉野川左岸の平坦な農村地帯で、南東部をかつては吉野川本流であった旧吉野川が南西から北東に流れる。大坂谷おおさかだに川・黒谷くろだに川などが讃岐山脈から南へ流下して大寺おおてら地区で旧吉野川に合流する。そのほか宮川内谷みやごうちだに川などが南部を東流して旧吉野川に注ぐ。東から入ってきたJR高徳線は板野駅から北上し大坂山トンネルを経て香川県へ向かう。南部を南東から北西へ四国縦貫自動車道、北部を南東から北へ四国横断自動車道が走る。

石器時代の遺跡は羅漢らかん平山ひらやま遺跡でナイフ形石器が採集されている。縄文時代は平山遺跡に石器の散布がみられるほか、大寺黒谷川郡頭くろだにがわこおず遺跡で晩期の浅鉢や深鉢が出土している。弥生時代の遺跡は同遺跡で前期後葉の松菊里形住居跡が三棟検出されている。同遺跡では弥生後期中葉から終末期にかけて東西五〇〇メートル以上にわたる集落が形成されており、吉野川北岸では唯一朱の精製が確認される。犬伏いぬぶし黒谷川宮くろだにがわみやまえ遺跡では後期から終末期にかけての小区画水田と池が検出されている。同遺跡や黒谷川郡頭遺跡は標高一メートル前後にあり、当該時期の平地部に位置する集落は現在の地表面から三―四メートル下層に埋没していることが明らかになっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「板野町」の意味・わかりやすい解説

板野〔町〕
いたの

徳島県北東部,讃岐山脈東部にある町。 1955年板西 (ばんざい) 町,松坂 (まつさか) 村,栄 (さかえ) 村が合体して発足。北部は讃岐山脈の南斜面,南部は吉野川の氾濫原を占める。 JR高徳線が通じ,北の大坂峠を越すと香川県に入る。中心地区の板西は讃岐 (さぬき) 街道撫養 (むや) 街道が交差する交通の要地。北部のシイタケ,マツタケの特産が有名。平地部は第2次世界大戦後,クワ畑から水田・野菜畑に移行している。「阿波たくあん」の産地。山麓には古墳群があり,経筒,経瓦が発掘されている。愛宕山古墳は四国最大の竪穴式石室をもつ。四国八十八ヵ所の第3番札所金泉寺,第4番札所大日寺,第5番札所地蔵寺,大坂峠には大坂口御番所跡がある。面積 36.22km2。人口 1万3042(2020)。

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