日本大百科全書(ニッポニカ) 「龍郷」の意味・わかりやすい解説
龍郷(町)
たつごう
鹿児島県大島郡、奄美大島(あまみおおしま)北部にある町。1975年(昭和50)町制施行。山地が多く、町域の約80%を亜熱帯性林野が占める。国道58号が通じ、本茶(ふんちゃ)トンネルを境に奄美市と接する。主産業は大島紬(つむぎ)の製造。ハブやソテツの模様をデザイン化した大島紬龍郷柄(がら)の発祥地である。幕末には西郷隆盛(たかもり)が流謫(るたく)された地として知られる。景勝地も多く、赤尾木湾(あかおぎわん)は周囲10キロメートルに及ぶ美しい円形の湾で奄美十景の一つ。安木屋場(あんきゃば)集落の背後にはソテツとバショウの自然群生地がある。ノロの祭りとして秋名集落に伝わるアラセツ行事(ひらせまんかい)は国の重要無形民俗文化財に指定されている。面積81.82平方キロメートル、人口5817(2020)。
[平岡昭利]