(読み)やく

精選版 日本国語大辞典 「龠」の意味・読み・例文・類語

やく【龠・籥】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中国容積単位一合の十分の一。勺にあたる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔漢書‐律歴志・上〕
  3. 中国の楽器一つ。三孔また、六孔、七孔の竹笛。〔詩経‐邶風・簡兮

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普及版 字通 「龠」の読み・字形・画数・意味


17画

[字音] ヤク
[字訓] ふえ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
三孔のある竹笛の形で、籥(やく)の初文。〔説文〕二下に「樂の竹管なり。三孔以て衆聲を和す」、また「品侖に從ふ。侖は理なり」と字を会意に解するが、上の三口は吹き口、下は竹管を並べて纏(くく)った形で、その全体が象形。籥はその繁文で形声字である。もと神を降す楽器で、わが国では今も神事に用いる。〔周礼、春官、籥師〕に、祭祀賓客・大喪のときに、また〔周礼、春官、籥章〕に、農事や祭(さいそ)の楽舞に用いるという。

[訓義]
1. ふえ、三孔のふえ、神事や楽舞に用いる。
2. 容積の単位、千二百黍。一合の二分の一とも、十分の一ともいう。十分の一ならば、一勺である。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕龠 ハカリノキ

[声系]
〔説文〕に龠声として籥・(やく)など七字を収める。と声義近く、または関の形が龠に似ていることから、名をえたものであろう。

[語系]
龠・籥・(鑰)jikは同声。籥は龠の繁文。はまた籥に作り、〔書、金〕「籥を(ひら)きて書を見る」の〔注〕に「を開くの管なり」とみえる。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【度量衡】より

…長さを測る五度は,分,寸,尺,丈,引で,クロキビ(秬黍)の中くらいの粒を並べると90粒分が黄鐘の管の長さになり,その1粒ぶんを1分とし,十進法によって10分を1寸,10寸を1尺,10尺を1丈,10丈を1引とする。容量の五つの単位は,黄鐘の管にクロキビを入れると1200粒で管が満ち,これと同じ容量の水を1龠(やく)とし,2龠を1合とし,10合を1升,10升を1斗,10斗を1斛(こく)とする。この五量を一つの器に備えた嘉量が後9年,新の王莽(おうもう)のときに作られた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」