国庫の収入の一部である印紙税や登録免許税、手数料、罰金、科料などの徴収のために国が発行している証票の一種。
税金やその他の公課の納付は金銭の形でするのが原則であるが、それらの金額に相当する収入印紙を一定の書類に貼付(ちょうふ)することによって納付する方法を印紙納付という。「印紙をもつてする歳入金納付に関する法律」(昭和23年法律第142号)には、「国に納付する手数料、罰金、科料、過料、刑事追徴金、訴訟費用、非訟事件の費用および少年法の規定により徴収する費用は、印紙をもつて、これを納付せしめることができる」「印紙をもつて租税及び国の歳入金を納付するときは、収入印紙を用いなければならない」と規定されている。手数料の種目は各省各庁の長が定める。印紙税法の別表第1には、印紙税が課される文書が掲げられ、課税標準と税率が定められている。登録免許税は、税額が3万円以下、その他特定の場合に、印紙納付の方法によることができるとされる。2022年度(令和4)予算においては、租税および印紙収入合計額65兆2350億円に対して印紙収入額は9440億円となっている。
[林 正寿]
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…国は印紙の発行・販売によりあらかじめ金銭を収納し,特定の租税・手数料等の納付については,印紙を使用させ,その貼付,消印等によって納付があったものとするとともに,印紙としての価値を失わせることにより,歳入金の徴収の目的を達する。1997年現在,使用されている印紙には,(1)収入印紙,(2)雇用保険印紙,(3)農産物検査印紙,(4)自動車検査登録印紙,(5)健康保険印紙,(6)国民年金印紙,(7)自動車重量税印紙,(8)特許印紙および登記印紙の9種類である。収入印紙は,(2)~(8)の印紙によって納付すべき場合を除いて,法令の規定により印紙をもって租税および国の歳入金を納付することが認められているすべての場合に使用される(印紙をもってする歳入金納付に関する法律,1948公布)。…
…各種の契約書,手形,金銭の受取書など,印紙税法(1967公布)別表第1課税物件表に掲げる文書を課税物件とする租税。課税物件たる文書にその作成者が印紙(収入印紙)を貼付し,これを作成者の印章等で消印して納付することを原則とする租税であるところからこの名がある。印紙税は,文書作成の背後にある経済取引等に担税力を認めて軽度の税率で課税する流通税であり,その税率は,文書の記載金額に応じて負担を求める階級定額税率と,記載金額にかかわらず一律に負担を求める定額税率とを主としている。…
※「収入印紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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