国が特定の租税・手数料その他の歳入金を徴収する手段として発行する金銭上の価値を表象する証券。国は印紙の発行・販売によりあらかじめ金銭を収納し,特定の租税・手数料等の納付については,印紙を使用させ,その貼付,消印等によって納付があったものとするとともに,印紙としての価値を失わせることにより,歳入金の徴収の目的を達する。1997年現在,使用されている印紙には,(1)収入印紙,(2)雇用保険印紙,(3)農産物検査印紙,(4)自動車検査登録印紙,(5)健康保険印紙,(6)国民年金印紙,(7)自動車重量税印紙,(8)特許印紙および登記印紙の9種類である。収入印紙は,(2)~(8)の印紙によって納付すべき場合を除いて,法令の規定により印紙をもって租税および国の歳入金を納付することが認められているすべての場合に使用される(印紙をもってする歳入金納付に関する法律,1948公布)。印紙税,登録免許税等の租税ならびに国に納付する手数料,罰金,科料,過料,刑事追徴金,訴訟費用および非訟事件の費用等がそのおもなものである。印紙に関する取締法規として,偽造・変造を取り締まる印紙犯罪処罰法(1909公布)および印紙の模造を取り締まる印紙等模造取締法(1947公布)がある。なお,郵便切手は,郵便料徴収の手段として発行されるので,印紙と同様の機能を営むものであるが,法令上の取扱いは印紙と区別されており,ここでいう印紙には含まれない。
執筆者:浜本 英輔
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国が歳入金を徴収する一つの手段として発行する一定の金額を表す証票。特定の租税や手数料を納付する際に印紙を購入し、証書や帳簿に貼用(ちょうよう)する形で納付する。貼用された印紙には消印がされるから、ふたたび使用することはできない。印紙による歳入金の徴収方法は1624年にオランダにおいて初めて採用され、その後しだいにヨーロッパ諸国に広まった。歴史上とくに有名なのは、1765年にイギリスが植民地アメリカに課した印紙条令である。日本では、1873年(明治6)に制定された受取証文印紙貼用心得方規則に基づいて使用され始めたのが最初である。
日本で現在使用されているのは、収入印紙、雇用保険印紙、国民年金印紙、健康保険印紙、農産物検査印紙、自動車検査登録印紙、自動車重量税印紙、特許印紙の8種類である。雇用保険印紙、国民年金印紙はそれぞれの保険料の納付、健康保険印紙は日雇労働者の健康保険料の納付、農産物検査印紙、自動車検査登録印紙はそれぞれの手数料の納付、自動車重量税印紙は租税の納付、特許印紙は特許や実用新案などの出願・登録の手数量の納付の手段として使用される。収入印紙は、以上7種の印紙を使用する場合を除き、法律によって印紙による納付が認められているすべての場合に使用され、そのおもなものは、印紙税、登録免許税、罰金、科料などである。印紙の偽造、変造、模造は、印紙犯罪処罰法や印紙等模造取締法により取り締まられている。
[林 正寿]
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…各種の契約書,手形,金銭の受取書など,印紙税法(1967公布)別表第1課税物件表に掲げる文書を課税物件とする租税。課税物件たる文書にその作成者が印紙(収入印紙)を貼付し,これを作成者の印章等で消印して納付することを原則とする租税であるところからこの名がある。…
※「印紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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