3次回収法(読み)さんじかいしゅうほう(英語表記)tertiary recovery

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「3次回収法」の意味・わかりやすい解説

3次回収法
さんじかいしゅうほう
tertiary recovery

ガス圧入法水攻法などの2次回収法の適用によっても採取不可能な油層内の油を採取する方法。火攻法スチームドライブ法,界面活性剤攻法,ポリマー攻法,ミシブルドライブ法などがある。火攻法とスチームドライブ法はともに,油層内の油に熱を加えて流動性をよくしたうえで人工的に排油させようとするもので,前者は油層内に空気を送って着火させる方法であり,後者はスチームを油層内に圧入する方法である。界面活性剤攻法はいわば石鹸液で油層内の残留油を洗い出す方法である。ポリマー攻法は水の粘性を上げて掃攻効率をよくするもので,一般に水攻法実施後の油田に適用されている。ミシブルドライブ法は圧入された高圧炭化水素ガスが油層内の残留油をミシブル (ガス体と液体の相界がはっきりしないような流体相) にして排油させるものであるが,圧入ガスとして天然ガスの代りに炭酸ガスも利用されている。通常の油田では1次回収の次に2次回収,さらには3次回収が行われていくものであったが,排油機構や流体の置換機構の研究の進歩や経済効率の高い生産計画上から,回収法の適用が従来からの段階的分類になじまないものとなってきている。また通常のガス圧入法や水攻法で得られるより高い置換効率を目的とした採収法として,増進回収法という用語が3次回収法に代って使われることも多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の3次回収法の言及

【油田】より

…また二次回収のために圧入する水のなかに分子量の高いポリマーを溶解させて水の粘性を高め,易動度を改善することによって均一的な水攻効果を得ようとする改良型水攻法も一部で実用化されている。水攻法やガス圧入法を二次回収法と称するのに対して,さまざまなミシブル攻法,地下燃焼法,水蒸気圧入法のような熱回収法,あるいは界面活性剤やポリマーを使うケミカル攻法は,従来は三次回収法(増進回収法=EOR,Enhanced Oil Recovery)と呼ばれてきた。しかしこれらの方法は二次回収法とともに,油田開発の初期から適切な方法を選択して応用することが望ましいので,二次あるいは三次回収という区別をしないで,全般として改良型回収法(IOR,Improved Oil Recovery)という名称が広く使われるようになっている。…

※「3次回収法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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