BM-25ムスダン弾道ミサイル(読み)BM25むすだんだんどうみさいる/びーえむにじゅうごむすだんだんどうみさいる(英語表記)BM-25 Musdan ballistic missile

知恵蔵 の解説

BM-25ムスダン弾道ミサイル

1990年代中頃より、北朝鮮が旧ソ連開発の潜水艦搭載弾道ミサイルR-27(NATOコードネームはSS-N-6サーブ)を基に陸上発射型を開発しているという情報が伝えられ、イスラエルはBM-25と呼び、米国は最初にその存在確認された北朝鮮の場所に因んでムスダン(舞水端)というコードネームを与えた。北朝鮮名は不明。2000年に存在が発見されたといわれ、05年には北朝鮮からイランに18発分の構成部品が引き渡されたとも伝えられるが、07年10月現在で北朝鮮、イラン両国でこのミサイルの発射実験が行われたかは確認されていない。R-27は液体燃料型だが、スカッドノドンに使われている型と違ってミサイルのタンク内に長期の貯蔵が可能であり、地下サイロのような固定発射台なら即時発射が可能になる。また燃料もスカッド、ノドンに使われている型よりも効率が良く、大きな推力を発揮できる。R-27の射程は2500km、改良型のR-27Uは3000kmとされるが、イスラエル情報部は2500kmとし、米ミサイル防衛局(MDA)は3200kmとしている。後者の射程なら北朝鮮領内から発射してグアム島を攻撃できる。03年に自走発射機が完成し、05〜07年に北朝鮮軍への配備が開始されたとする説もあるが、確認はされていない。07年4月25日の人民軍創設75周年記念軍事パレードに展示されたとされるが、その映像は公表されていないため、存在に関してはなお疑問が残されている。

(江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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