コスト、資源、時間などをバランスよく調整し、全体の進捗(しんちょく)を管理する「プロジェクトマネジメント」を行うため、各工程(作業)の進捗とコストの発生を一つのグラフで把握し、的確に対処するための管理手法。アーンドバリューマネジメント(earned value management)の略語。1960年代にアメリカの国防総省が設計した手法をもととし、1990年代にアメリカ政府がプロジェクトのパフォーマンス測定を見直した際、調達規則を改訂したことで現在のEVMが誕生した。日本では2003年(平成15)に経済産業省の外郭団体である情報処理振興事業協会(現、情報処理推進機構)が「EVM活用型プロジェクト・マネジメント導入ガイドライン」を公開したことから、各省庁などのシステムの調達規則の一つとしてEVMによる進捗管理が求められるようになってきた。
EVMでは作業の進捗を、金額などの価値(コスト)に換算した出来高実績値(EV=earned value)として把握する。計画の段階では、各工程が完了するまでの作業内容をWBS(work breakdown structure)と関連づけて表し、工程の開始日から完了するまでの推移グラフを作成する。この事前の計画をグラフに表した、出来高計画値(PV=planned value)と、完了までの予算(BAC=budget at completion)の推移を基準線とし、この推移に実際の出来高の経過を加え、これらの比較を行う。この際、実際の工程の進捗に関する実績としては、出来高実績値、コストの実績値(AC=actual cost)として推移を示す。事前の計画と現状の出来高の比較によって、各工程の作業の進捗状況と、その状況に応じて発生しているコストの差異を把握する。EVMの活用により、プロジェクトの工期の遅延やコストの超過などの早期発見が期待できる。
[編集部]
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