WBS(読み)だぶりゅーびーえす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「WBS」の意味・わかりやすい解説

WBS
だぶりゅーびーえす

事業や研究などのプロジェクト全体を通して実際に行う作業を細かく分け、作業の一つ一つをわかりやすく表した階層構造図表のこと。ワークブレークダウン・ストラクチャーWork Breakdown Structureの略語で、WBS図ともいう。WBSの作成により、プロジェクトの目的やなしうる結果を明確に示すと同時に、完成までの作業を綿密に表せるようになる。また、作業の工程数がわかり、仕事量を事前に見積もりやすくなり、進捗(しんちょく)管理も容易となる。

この図表に示した作業の最小単位のまとまりをワークパッケージとよぶ。ワークパッケージごとに具体的な作業や必要な材料、各管理者などを図表化し、これを集めて全体図と組み合わせて構成することもある。

 一般的なマネジメント方法の一つだが、とくにIT分野で積極的な導入がみられる。これは情報システム開発などの場合、異なるシステムやデータの種類、専門的な知識や技術などが複雑に絡み合うことが多く、その管理にWBSが適しているためである。政府高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部IT戦略本部)の各府省情報化統括責任者連絡会議が2006年(平成18)3月に策定した「業務・システム最適化指針」には、進捗管理の実施要項としてWBSが盛り込まれた。以降、政府や地方自治体のIT関連事業の入札でWBSを求めることが増えている。IT分野のわかりにくい作業順序や内容可視化するだけでなく、費用対効果までみえるようにする手段として利用されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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