価値分析(読み)かちぶんせき

改訂新版 世界大百科事典 「価値分析」の意味・わかりやすい解説

価値分析 (かちぶんせき)

価値分析は,最低の総コストで必要な機能を確実に達成するため,製品とかサービスの機能分析に注ぐ組織的な努力であると定義されている。価値分析はVA(value analysis)ともVE(value engineering)とも略称されるが今日では後者を用いることが多い。

 顧客は価値ある製品やサービスを求めている。VEでいう価値とは,製品とかサービスを利用する顧客側が判断するものであり,したがって企業側としては顧客の立場にたって価値改善をはかるよう努力することになる。顧客としては製品やサービスの果たす機能(functionFが十分であることを要求し,また製品やサービスに支払う費用(cost)Cができるだけ小さいことを望んでいるから,価値(value)VVF/Cという概念式で表す。VE活動では,製品やサービスの価値を評価し,価値の低い製品やサービスを探しだして改善をはかる。その実施にあたっては次の3段階をふむ。(1)機能の定義 その製品にはどれだけの機能が要求されているか,製品を分析してみてどのような機能をもっているかを確実に把握し,不必要な機能があれば除去する。(2)機能の評価 必要機能に対していくらの値うち(達成可能な最低のコスト)があるかをきめ,この機能評価によってコスト低減の余地と目標を明確にする。(3)代替案の作成 明確にされた機能を確実に達成する代替案を数多く考えだし,技術的側面とコスト的側面とから検討して最適案を選定する。その最適案を他の類似の製品や部品にも適用できるよう標準資料としてまとめ,技術を蓄積していく。

 VEは1947年アメリカのGE社のマイルズL.D.Milesが中心となり開発した手法である。日本にVEが紹介されたのは55年ごろであるが,企業内活動として始められたのは60年ごろといわれている。VE活動は導入初期には資材・購買部門を中心として展開されたが,今日では設計・技術部門などにも浸透し,企業内活動の一環としてVEの役割が広く認められ定着しつつある。VEはコスト低減手法としてのみならず価値改善手法として,単に製品だけでなく工程・事務・組織などの面にも展開されてきている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「価値分析」の意味・わかりやすい解説

価値分析
かちぶんせき

バリュー・アナリシスvalue analysis(略称VA)ともいう。バリュー・エンジニアリング価値工学)と同義に用いられることが多い。1946年にアメリカで開発された新しいコストダウンの考え方およびその手法をいい、求める機能を最少の資源コストで得るため、製品の価値に関連する諸要因を体系的に分析する。

[森本三男]

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百科事典マイペディア 「価値分析」の意味・わかりやすい解説

価値分析【かちぶんせき】

バリュー・アナリシスvalue analysisとも。VAと略。生産管理,特に購買管理において,製品を構成する部品や資材が機能上むだを含んでいないかを分析し,コスト切下げを図る経営技術。 〈価値工学〉と訳されるバリュー・エンジニアリングvalue engineering(VE)も同様の概念。VEは1947年米国のGE社で開発された手法で,日本には1955年頃紹介され,1960年頃に企業内活動として始められた。初期のVE活動は資材・購買部門を中心に展開されていたが,今日では設計・技術部門などにも浸透している。
→関連項目在庫管理

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「価値分析」の意味・わかりやすい解説

価値分析
かちぶんせき
value analysis; VA

使用する材料の特性,機能や加工技術,設計方法などをさまざまな角度から分析,検討して,コストの低下をはかること。生産工程のオートメーション化が進むにつれて,その工程でのコストの引下げの余地が次第に少くなってきたために起ってきた生産管理のための技法の一つで,次のようなステップで行われる。 (1) 対象となる材料,部品の機能把握,(2) 現行の加工・調達方法およびコストの把握,(3) 代替案の創出,列挙,(4) それぞれの代替案の実行可能性とそれらのコストの推定,(5) 最適な代替案の選択,(6) その実施 (設計や業者との交渉あるいは設備の変更など) 。

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