X線マイクロアナライザー(読み)エックスセンマイクロアナライザー

化学辞典 第2版 の解説

X線マイクロアナライザー
エックスセンマイクロアナライザー
X-ray microanalyser

蛍光X線を用いる分析法の一つ.電子線マイクロアナライザー(electron-probe microanalyser,EPMA)ともいう.直径 μm 以下の細い電子ビームで試料を走査して,各微小点から出る特性X線を分光して元素分析を行う.非破壊分析ができるので応用範囲が広く,金属半導体などの単結晶中の欠陥や,不純物の分布状態,また生体試料中の重金属などの分布状態などが分析できる.検出できる濃度は30 ppm が限度であり,検出できる量は濃度により異なるが,たとえば 10-14 g μm-3 が限度である.定性分析はNa以上の元素について可能であるが,定量分析精度はやや低い.電子線発生部と集束レンズ系などは電子顕微鏡のそれとよく似ており,分析か所の観察には光学顕微鏡も用いられる.発生した蛍光X線の分光には湾曲結晶モノクロメーターが用いられ,複数個の分光器を備えて多くの元素を同時に検出できるようにしたものもある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

X線マイクロアナライザー
えっくすせんまいくろあならいざー

試料上に直径を1マイクロメートル(100万分の1メートル)程度に細く絞った電子線を照射し、被照射部分から発生する固有X線を利用して、その部分の定性、定量分析を行う装置。この方法は1949年に発表され、X線マイクロアナライザーとよばれていたが、現在は電子線マイクロアナライザーとよばれている。

[高田健夫・編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のX線マイクロアナライザーの言及

【分光分析】より

…固有X線の波長と原子番号の間には,〈モーズリーの法則〉として知られる関係が成立するから,測定された波長から試料物質中の原子の原子番号を知ることができる。収束した電子線を用いたX線発光分析装置はX線マイクロアナライザーX‐ray microanalyserと呼ばれ,物質の局所的な元素組成の分析に有用である。蛍光X線法X‐ray fluorescence analysisは,X線の照射によって試料中の原子を励起する以外はX線発光法と同一の分析法で,やはり金属元素などの分析に適している。…

※「X線マイクロアナライザー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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