CEマーク(読み)しーいーまーく(その他表記)CE Marking

日本大百科全書(ニッポニカ) 「CEマーク」の意味・わかりやすい解説

CEマーク
しーいーまーく
CE Marking

ヨーロッパ地域内で販売・流通する工業製品がヨーロッパ連合(EU)加盟国の安全基準を満たしていることを示すマーク。CEマーキングともいう。このマークがついていない製品はヨーロッパ地域内で自由に販売・流通することができない。いわばヨーロッパ版のJIS(工業規格)である。経済市場の統合を目ざすEUが1985年に域内共通法令「技術的調和と規格のニューアプローチ指令」(New Approach Directives)を採択し、経過期間が過ぎた1993年からCEマークが導入された。2018年時点で25のニューアプローチ指令があり、電気製品、通信機器、医療機器、一般機械、玩具圧力容器、ガス器具、エレベーターなどにマークの添付が義務づけられている。対象国はEU加盟28か国のほかスイス、ノルウェーアイスランドリヒテンシュタインマケドニア(現、北マケドニア共和国)、トルコ。名称の「CE」について、EU本部は公式には「CEには何の意味もなく、略語でもない」としているが、フランス語の「Conformité Européenne(ヨーロッパ適合)」あるいは「Communauté Européenne(ヨーロッパ共同体)」の頭文字をとったものとみられている。

 安全基準に適合しているかどうかの認証は、(1)製造業者(輸入者)自身が法的・技術的に点検して自己宣言する、(2)EU公認の第三者民間認証機関に委託する、のいずれかを選択できる。CEマークは製品本体のほか、包装、説明書に添付する必要があり、基準を満たしていない製品にこれをつけた場合には刑事罰を科せられる。ただし、製品の欠陥によって人身傷害・物損事故などを起こした場合は、CEマークの添付の有無にかかわらず製造物責任を問われる。

 近年、EU圏以外のアジア・中東などの新興国でもCEマークへの適合を求められる事例が増えており、日本とEUは貿易自由化の一環として、輸出先の国の安全基準審査を自国内で済ますことができる相互認証協定(MRA:Mutual Recognition Agreement)を一部導入している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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