アメリカ合衆国の連邦航空局Federal Aviation Administrationの略称。1958年の連邦航空法に基づき,航空の安全面を扱う独立機構として連邦航空機関が設立されたが,66年運輸省の設置にともない,その一部となって名を連邦航空局と改めた。民間航空の経済面を統制するCAB(民間航空委員会)とならんで,航空行政の中心となっている。連邦航空法修正第103条によれば,FAAは(1)航空の発展と安全を促進し国防の必要をみたすよう航空通商を規制すること,(2)民間航空を振興,奨励,発展させること,(3)安全性,効率性を考え,軍用機と民間機の航空管制を行うこと,(4)航空援助施設の設置・運営とともに,その研究開発を統合すること,(5)軍用機,民間機の航空管制と航法の共通システムを開発し運営すること,を目的としている。具体的には航空機の型式証明の発行やその他技術面での監督,パイロット免許の発行や技能試験,空港およびその施設の設置・運営・管理,航空管制の運用やその施設の設置・保安・維持など,航空の安全に関する基準の設定,監督,研究を統轄している。運輸省には別に全国交通安全委員会があり,陸海空の安全性を追求し,事故が生じた場合の原因究明にあたっている。
執筆者:榊原 胖夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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