軍用機(読み)ぐんようき(英語表記)military aircraft

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

軍用機
ぐんようき
military aircraft

軍事目的のために設計,製造,使用される航空機。ハーグ空戦規則案 (1922。→空戦法規 ) によれば,軍用機は国籍および軍事的性質を示す外部標識を掲げなければならず,国の軍務に関し正式に任命された者の指揮下に置かれていること,乗員が軍人であることを要する。軍用機は交戦権を行使することができ,敵国に捕えられた場合は乗員・乗客とも捕虜となる。なお,外国の軍用機が他国の領空に入るためには許可を必要とする。

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百科事典マイペディアの解説

軍用機【ぐんようき】

軍の用いる航空機は用途に適応する高度の性能を第一義とする点で,採算性を重視する民間機と異なる。軍事航空の発達のため多種多様となり,戦闘機偵察機爆撃機攻撃機哨戒(しょうかい)機輸送機早期警戒機,給油機,連絡機,救難機,気象観測機,および軍用ヘリコプター(輸送,攻撃,対潜,救難等)などがある。このほか気球,飛行船,グライダーなど航空機のほとんどが軍用として利用された。これらは戦略・戦術の観点からさらに細分される。→空軍飛行機
→関連項目ステルス

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世界大百科事典 第2版の解説

ぐんようき【軍用機 military aircraft】

軍事上の用途に使用することを目的として特別に設計された航空機,および同じ目的で既存の航空機を改造して得られた航空機を,一般に軍用機と呼ぶ。国際法上,ある航空機を軍用機と認定する際の基準としては,(1)軍務に従事する者が指揮をとっている,(2)機体に国籍を示す記号(軍用標識)を付している,(3)軍事目的に供される,の3条件が挙げられている。軍用機中,最も多いのは有人の飛行機で,ヘリコプターがこれに次ぐ。

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大辞林 第三版の解説

ぐんようき【軍用機】

民間機に対し、軍事に使う航空機の総称。軍用航空機。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

軍用機
ぐんようき
military aircraft

軍用航空機の略で、軍事上の目的で軍により使用される航空機のこと。空中を初めて軍事目的で使用したのは、1794年にフランス陸軍が気球で敵の情勢を偵察したときで、これが軍事航空の端緒であった。1903年にライト兄弟が動力飛行に成功すると、アメリカ陸軍がそれに関心を寄せて1907年に世界で初めて、軍用航空機としての発注・装備が行われるなど、航空機はその誕生の初期から軍事目的への応用が考えられた。本格的に戦争で使われたのは、第一次世界大戦が初めてで、続く第二次世界大戦では用途に応じたさまざまな種類の軍用機がつくられて、戦闘機、偵察機、重爆撃機、軽爆撃機、襲撃機、哨戒機(しょうかいき)、直協・連絡機、輸送機、練習機、海軍の艦載攻撃機、雷撃機、飛行艇など、軍用機の専門分化が行われた。そしてこれらの軍用機は、第一次世界大戦当時とは比較にならないほどの能力を有して、勝敗の帰趨(きすう)を決める存在となっていった。
 軍用機の開発は第二次世界大戦後も続けられ、とくにジェット機の実用化によって新しい時代に入るとともに、用途の柔軟性を増して、種別の面では減ることとなった。ここでは、第二次世界大戦後の軍用機について、大きな種類分けに沿って記しておく。おもな種類としては、戦闘機、攻撃機、爆撃機、偵察機、対潜哨戒機、電子戦機、指揮・連絡機、輸送機、練習機、ヘリコプターがあって、世界各国の軍で使用されている。
 戦闘機は、空対空戦闘を主任務とするもので、速度・加速性能、上昇力、機動性に優れ、敵戦闘機を圧倒する武装を備えていることが必要になる。このため機体は小型・軽量につくられ、他方高性能のレーダーと空対空ミサイルなどを搭載する。また敵に発見されにくくするステルス性も、これからの戦闘機では必要不可欠な特性となる。最新の戦闘機では、敵による発見を遅らせ、先に敵を発見する「先制発見・先制撃破」と、格闘戦闘に入っても相手を凌(しの)ぐ超機動性を有する。複数の目標に対し、個別に同時ミサイル攻撃を行う多目標同時処理能力も、現在では常識化している。攻撃機は、空対地、空対艦の攻撃に使われるものだが、エンジンの高性能化とレーダーなどの多機能化によって、戦闘機に攻撃用兵装を搭載するだけで攻撃機に転用できるようにした機体が増えている。このため、両者の明確な区分けはむずかしくなっているが、空対空兵装を装備しない攻撃専用機も残っている。発見されにくくした隠密(おんみつ)性を活かしてピンポイント攻撃を行うステルス機や、近接支援機、対戦車攻撃機などがその代表である。
 爆撃機は、しだいに数が減ってきており、本来の意味での爆撃機部隊を有しているのはアメリカ、ロシア、中国程度になっている。理由の一つは、戦闘・攻撃機の兵装搭載量が増加し、第二次世界大戦後の中爆撃機程度の爆弾類を搭載できるようになったことがあげられる。また、戦略兵器の主体が核兵器となり、その運搬手段として各種のミサイルが開発されたことも、有人戦略爆撃機の存在意義を低下させた。爆撃機による戦略攻撃は、敵地に侵入するというリスクがあり、また平時にその戦力を維持するにはミサイルよりもはるかに膨大な経費を必要とする。しかし、優れた判断力をもつ人間の力が、状況の変化に応じうる柔軟性に富み、高い信頼性を発揮できることと、ミサイルと違っていつでも引返しが可能で、かつ再使用できるという利点を有しており、戦略攻撃の柱の一つであり続けている。さらに巡航ミサイルの実用化により、爆撃機の使用範囲も広がった。今後、この機種が増加することはないが、なくなることもまた考えにくい。
 偵察機は、敵の情勢などを探るための機種だが、これも爆撃機同様、敵地に入り込むというリスクを抱えている。そして偵察衛星の進歩により、その役割は衛星に切り替えられつつある。情報収集のための写真撮影は、偵察衛星が主体となってきており、従来のタイプの偵察機は、アメリカ空軍からはほとんど姿を消した。しかし、必要なときに必要な情報を得るという点では、偵察機の運用のほうが柔軟性に富み、また偵察衛星を保有していない国も多いから、まだ多くの国で活用されている。偵察方式も、写真撮影以外にビデオ撮影や、電子偵察手段が開発され、さらにその情報をリアルタイムで地上の指揮所に送る、特別なデータリンクもつくられている。近年ではさらに、無人航空機(UAV)が主体になりつつある。
 対潜哨戒機は、潜水艦の探知・発見と、必要に応じて潜水艦攻撃を行うための機種である。以前は、潜水艦は海軍の船団や輸送船団の脅威であったが、潜水艦発射弾道ミサイルを装備するようになると、大きな戦略脅威となった。海中に潜行すれば、目視や光学手段では探知が困難で、戦略拠点に接近して確実な核攻撃を行うことが可能になっている。それだけに対潜哨戒機による潜水艦の探知は重要なものとなり、発達が続いている。
 電子戦機は、敵のレーダーなどの探知手段を妨害・攪乱(かくらん)して、攻撃部隊などを支援するものである。軍用の探知手段が電子装備を主体としている現在、これに対する妨害と、それに対する対妨害技術は、年々高度化している。電子戦機に準ずるものの一種として、早期警戒機(AEW)や空中早期警戒管制機(AWACS)がある。これらは空中のレーダー・サイトといえるもので、地上のレーダーでは発見しにくい低空飛行目標や、巡航ミサイルなどの小型目標を早期に探知し、要撃活動を支援する。
 指揮・連絡機は、空中からの指揮・統制、あるいは作戦地域間や基地間の連絡を行うもので、後者には小型の輸送機がおもに使われている。前者では、アメリカの発達型国家空中指揮所(AABNCP)が代表的存在で、核攻撃を受けるなどの危機が発生した場合、大統領や上級幕僚を乗せて空中に待機し、核攻撃を含むあらゆる指令を全軍に送る機能を有している。
 輸送機は、人員や物資、資材の空輸を行うもので、戦闘地域での戦力の確立や、それを維持するための補給には不可欠な存在である。輸送機の特殊な型としては、空中で燃料を補給する空中給油機がある。
 練習機は、航空乗員の養成を行う。
 ヘリコプターは、とくに発達の著しい機種で、元々は少数の人員輸送や観測・監視にのみ使われていたが、大型化や武装の携行能力などを有するようになり、攻撃ヘリコプター、輸送ヘリコプター、対潜ヘリコプター、偵察・索敵ヘリコプター、電子戦ヘリコプターなど、固定翼航空機に対応した各種の専用機が使用されている。とくに索敵・攻撃の面では、地表すれすれを匍匐(ほふく)飛行することが可能で、探知されずに目標に接近することができる。索敵では、ローター・マスト上に光学機材などを装備し、木陰に隠れたまま目標を探すための機材もつくられている。[青木謙知]
『『航空ジャーナル別冊 世界の軍用機1985』(1984・航空ジャーナル社)』

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