中波放送の番組をFM放送の周波数で同時に放送するラジオ放送。ワイドFM放送wide FM broadcastingともよばれる。建物が密集して中波ラジオ放送(振幅変調amplitude modulation:AM方式が採用されていることから、AM放送、AMラジオ放送ともよばれる)が聞こえにくくなる都市型難聴対策や山岳部などの地形的条件で聞こえにくくなる地理的・地形的難聴対策、AM送信所の多くが平地や海岸近くや川沿いに設けられているため高波や洪水によって使用不能となることを想定した災害時対策、外国からのAM放送混信対策など、さまざまな目的のため、AM放送の番組をFM放送の周波数で同時に放送するものである。AM放送をやめて移行するものではなく、AM放送は従来どおり存続したまま同時放送(サイマル放送)を行うことから、補完放送と名づけられた。
2011年(平成23)に地上アナログテレビジョン放送が終了し、超短波(UHF)の電波に余裕ができたため、そのうちの周波数90.0~94.9メガヘルツを新しく加えたFM放送用の周波数76.1~94.9メガヘルツを利用することで実現した。2014年12月に北日本放送と南海放送が新しい周波数割当てを使ったFM補完放送を開始したのを皮切りに、2015年以後、全国的に多数のFM補完放送局が設置されて今日に至っている。「ワイドFM」は東京のAMラジオ3社がつけたニックネームで、大阪の民放AMラジオ3社の「まいど!ワイドFM」など、放送局によっていろいろなニックネームがつけられている。
FM補完放送は中波のAM放送に比べて雑音が少なく、ビルやマンションなどの建物内でも安定したよい音で聞くことができるのが特長である。FM補完放送を聞くためには、76.1~94.9メガヘルツを受信できるFMラジオが必要である。現在市販されているFMラジオは問題なく受信できるが、古いFMラジオのなかには新しく加えられた周波数90.0~94.9メガヘルツに対応していないものもあり、注意が必要である。
[吉川昭吉郎 2020年2月17日]
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