化学辞典 第2版 「P-32」の解説
P-32
ピーサンジュウニ
phosphorus-32の略称.32P.放射性リンともいう.リンの質量数32の放射性同位体核種.天然の唯一の安定同位体核種 31P から,原子炉中の31P(n,γ)32P反応により容易につくられる.γ線を伴わず,β- 線(最大エネルギー1.711 MeV)のみを出し,14.28 d の半減期で壊れるので,トレーサーとしてもっとも広く用いられる.無担体の 32P は,32S,35Cl の化合物の中性子照射で核反応32S(n,p)32P,35Cl(n,α)32Pによってつくられる.放射線障害防止施行令(放射性同位元素の数量等を定める件)による 32P の化合物一般の空気中濃度限度2×10-2 Bq cm-3,排水中濃度限度3×10-2 Bq cm-3 である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報