最新 地学事典 「Sタイプ花崗岩」の解説
エスタイプかこうがん
Sタイプ花崗岩
S-type granite
堆積岩の部分溶融によって形成された花崗岩。名前はsedimentary source type graniteによる。B.Chappell et al. (1974)命名。斜長石・アルカリ長石・石英・黒雲母のほか白雲母・ざくろ石・菫青石などAlに富む鉱物を含む。角閃石は含まれない。相対的に低いNa量,高いK2O/Na2O比,Alに富み,Al2O3/(Na2O+K2O+CaO)>1.05,1%以上のノルムコランダム量を有し,Ca量に乏しく,Cr, Ni量が相対的に高い特徴をもつ。堆積岩源の捕獲岩を含み,Sr同位体比初生値が0.706~0.718と高い。これらの化学的特徴と,化学的風化作用の過程でNaやCaが除去され,KやAlが粘土鉱物に固定されることなどから,Sタイプ花崗岩は泥質堆積物の部分溶融生成物であると考えられる。模式地のオーストラリアのラクラン褶曲帯ではI-S線より西部,Waga帯,Kosciosko帯に卓越する。日本では領家帯のざくろ石含有細粒花崗岩や飛驒帯の灰色花崗岩,日高帯のミグマタイト質花崗岩の一部や中新世中期の西南日本外帯の南側の花崗岩がこのタイプ。世界では古生代の中・後期にSタイプ花崗岩が卓越する(高橋正樹,1985)。
執筆者:田結庄 良昭
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

