捕獲岩(読み)ほかくがん(英語表記)xenolith

翻訳|xenolith

日本大百科全書(ニッポニカ)「捕獲岩」の解説

捕獲岩
ほかくがん
xenolith

火成岩の中に含まれている、その火成岩(母岩(ぼがん)という)とは別種岩石片。ゼノリスともいう。母岩とまったく起源が異なる岩石であれば外来捕獲岩または外来岩片という。母岩と同じマグマに由来する岩石(結晶作用の早い時期に固結した部分)であれば同源捕獲岩という。形は丸みのあるものから角張ったものまでさまざまである。大きさは数ミリメートルから数メートルのものまである。捕獲岩は、マグマが上昇してくる途中にあった岩石を破片として取り込んだものである。上部マントルをつくっている橄欖(かんらん)岩類やエクロジャイトが捕獲岩としてアルカリ玄武岩やキンバレー岩に含まれていることがある。これらの捕獲岩は丸みを帯びた岩片となっていることが多いので、橄欖岩団塊とか橄欖岩ノジュールともよばれる。上部マントルまで人間の手が届かない現在、上部マントル物質として手に入る唯一の試料が捕獲岩である。

[千葉とき子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「捕獲岩」の解説

捕獲岩
ほかくがん
xenolith

火成岩体に取込まれた異質の岩石。マグマが貫入する途中で既存の岩石の一部が取込まれ,溶けないで残ったり,マグマが地表に出て流れるとき岩石の破片を取込んだりする。捕獲岩には小さいものが多いが,大きな岩体のこともある。茨城県の筑波山斑糲岩の山で,1億年ほど前に周囲花崗岩ができるとき,地下数 kmも深いところで捕獲岩となった。その後の地殻変動でこの地域が隆起したが,斑糲岩は花崗岩に比して硬いため,浸食に耐えて残ったのが筑波山で,平野から眺めると火山のように見える。

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岩石学辞典「捕獲岩」の解説

捕獲岩

enclave: →包有物①
xenolith: 火成岩に含まれる別種の岩石破片で,外部から火成岩の中に入ったもの[Sollas : 1894].捕獲岩には外来のものも同源のものもある[Harker : 1900].捕虜岩,外来岩,撈取物(ろうしゅぶつ)はすべて同じ.

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デジタル大辞泉「捕獲岩」の解説

ほかく‐がん〔ホクワク‐〕【捕獲岩】

火成岩母岩に含まれる別種の岩石片。マグマが上昇して地表に噴出するまでの間に取り込まれた岩石であり、熱変成を受けていることが多い。母岩と起源が異なる外来捕獲岩、起源を同じくする同源捕獲岩に分類される。ゼノリス。

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百科事典マイペディア「捕獲岩」の解説

捕獲岩【ほかくがん】

ゼノリスとも。火成岩体中にとりこまれた母岩(被貫入岩)の破片。変成岩になっているのが普通。

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世界大百科事典 第2版「捕獲岩」の解説

ほかくがん【捕獲岩 xenolith】

マグマが地表にむかって上昇するとき,上昇路にある固体の岩石をマグマ中に取り込み,地表に運び出すことがある。こうしてマグマ中に取り込まれた岩石を捕獲岩という。捕獲岩の岩石学的研究から,火山体の直下地殻や上部マントルの構造やマグマができる深さを推定することができる。捕獲岩はマグマが新しく上昇路(火道)を作るとき最も運び出されやすく,上昇速度が速いほど運び出されやすい。アルカリ玄武岩の単成火山(スコリア丘とそれにともなう溶岩流マール)に最もよく捕獲岩がみつかる。

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