日本大百科全書(ニッポニカ) 「XRAIN」の意味・わかりやすい解説
XRAIN
えっくすれいん
局地的な豪雨(ゲリラ豪雨)や集中豪雨の実況観測を強化するため、国土交通省が全国に配備を進めているXバンドMP(マルチパラメータ)レーダによる雨量観測網の呼称。正式名称は、XバンドMPレーダネットワークX-band polarimetric multi parameter rader information network。Xバンドは8~12ギガヘルツ帯域のマイクロ波。従来の観測レーダー(Cバンドレーダー。4~8ギガヘルツ)と比べると、最小観測面積は4分の1(250メートルメッシュ)、5倍の頻度(観測から配信に要する時間1~2分)、16倍の分解能(雨を測定する能力)で観測できる。定量観測範囲は半径60キロメートルと小さいが、局地的な大雨を即時に詳細に観測できる。従来のレーダーは、台風などの際の広域にわたる降雨の監視には適している一方、局所的な雨量を測定する場合には、地上に設置した雨量計の測定結果による補正が必要であるため、配信までに10~15分を要するという弱点があった。XバンドMPレーダは雨粒の形状(雨滴の扁平度)や変化を把握して雨量の予測を瞬時に行い、1~2分間隔で詳細に降雨の状況を観測する。
2010年(平成22)7月から試験運用が始まり、2013年9月時点で35基のXバンドMPレーダが整備され、配信を行っている。国土交通省のウェブサイトXRAINでリアルタイムの雨量情報を発信しており、2012年からは一部の地域で、テレビによるXRAIN画像情報の配信、列車運行や消防庁の警戒、水防判断などの材料として活用が始まっている。また、日本気象協会ではXRAINのデータを活用した予測雨量情報を、スマートフォン向けサイト「気象協会晴曇雨(はれくもりあめ)」で2013年3月から試験提供している。
[編集部]