国家行政組織法および消防組織法に基づいて置かれる消防に関する行政官庁で、総務省の外局。実際の消火活動は市町村の責任とされており、消防庁では行わない。所掌事務として、消防制度・消防準則の研究・立案、防災査察その他火災予防の制度の確立、消防職員および消防団員の教養訓練の基準の研究および立案・教育訓練、消防統計および消防情報、消防思想の普及・宣伝などがある。また、災害対策基本法および大規模地震対策特別措置法に基づく地方公共団体の事務で、消防にかかわるものに関し、国と地方公共団体および地方公共団体相互間の連絡に関する事項などを行う。施設等機関には消防大学校があり、ほかに消防審議会がある。なお、消防庁は自治省の外局であったが、2001年(平成13)1月同省が総務庁などと再編統合され総務省となったのに伴い、総務省の外局となった。
[平田和一]
自治省の外局であり,消防制度および消防行政運営に責任をもつ行政機関。その任務は,国民の生命・身体および財産を火災から保護するとともに,水火災または地震等の災害を防除し,被害を軽減することである。第2次世界大戦後の消防行政は総理府の国家消防庁(1948設置),国家消防本部(1952設置)が担当していたが,1960年自治省発足に伴いこれに移管され,消防庁とされた。その組織,所掌事務,権限等は消防組織法(1947公布)に定められている。同法はその大原則として,消防の主役は市町村であるとの考え方をとっており,国の責務は制度や基準の整備とそのための研究,技術の調査研究,消防関係職員の教養訓練,施設の強化拡充のための指導助成,消防思想の普及宣伝等を中心とするものとされている。消防庁の組織は,長官,次長以下6課編成であり,消防研究所,消防大学校,消防審議会が付置されている。2001年の省庁再編により総務省の外局となった。
執筆者:八木 俊道
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…81年に警視庁消防本部が警視庁消防本署と改称され,また東京府内には現在の消防署の前身である消防分署が6分署設置されて,以来消防分署長の指揮下に消防組員によって消防事務が行われるようになった。91年4月1日からは警視庁官制の改正により消防本署は消防署と改称,1906年には消防署を消防本部に,消防分署は消防署と改称,その後13年6月13日からは消防本部が消防部となって長期間継続し,警視庁から消防事務が分離独立した48年3月7日になって東京消防本部に,そして同年5月1日から東京消防庁となって現在に至っている。 このように日本の消防は長年にわたって全国的に警察の組織として運営されてきたが,第2次大戦後の1947年に消防組織法,翌48年に消防法が制定されるとともに警察機関から分離し,独自の行政機関として再出発したのである。…
※「消防庁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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