翻訳|rain gauge
雨量を測定する器械。雨量は,ある場所に降った雨を水平な面の上に受け,そこから外へ流れ出すこともなく,また他所に降った雨がそこに流れ込むこともないようにしたときにたまった水の深さで表される。測定の単位はmmである。最も基本的な雨量計は,直円筒の一端に底をつけ,鉛直に設置したものである。上端の受水口から底まで直径が同じであるから,その中にたまった水の深さがそのまま雨量となる。図は貯水型雨量計と呼ばれるものである。直径20cmの受水口から入った雨は貯水瓶にためられ,これを雨量升に移して測定する。この場合,1mmの雨量は31.4㏄になるから,雨量升にはこの体積を1mmとするように目盛ってある。雨量升の直径は受水口の直径よりかなり小さくしてあるから,雨量升の中ではこれらの断面積に逆比例して水の深さが拡大されるので,雨量測定の精度がよくなる。しかし人手を要する。転倒升型雨量計は,受水口から入った雨が三角形の断面をもつ二つの升の一方に一定量だけたまると,その重さで反対側に転倒し,別の升に水がたまるようになって同じことを繰り返す。転倒するとき一つの信号を出すようになっており,これを受けて雨量を記録することができるので,この型式は自記雨量計として使用されている。
空から降ってくる雪,あられ,ひょうなどの固体粒子と雨とをあわせて降水といい,その量を降水量という。この場合固体粒子は溶かして水にして測定する。雨は風によって吹き流されるから,建物や植物などによって風が乱されることの少ない場所に雨量計を設置することが望ましい。雨量計を設置した地面には,外側に降った雨が跳ね返って雨量計の中に入ることがないように芝草などを植えておく。人の住めないような山中で測定した雨量を電波に乗せて遠方に送信する無線ロボット雨量計なども現在使用されている。
執筆者:清水 逸郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
降水量を測るために使用する観測計器。いちばん簡単なものは、底のある金属製円筒を、空地などに鉛直に設置したものである。中にたまった降水の深さを物差しで測るか、水量あるいは重さを測定する。雨雪量計ともよばれる。日本で標準とされている雨量計は、口径が20センチメートルで、受水口は地面から数十センチメートルにする。正確に雨量を測るには、建物などの影響がない場所を選び、雨滴の跳ね返りを防ぐため、周囲には芝草などを植えるのがよい。
利用目的に応じていろいろな雨量計がある。室内で記録させるには、転倒ます型自記雨量計がよく用いられる。受水器に入った雨水は、回転軸を中心にしてシーソーのように動く転倒ますの片方に注ぐ。それがある量、たとえば雨量で0.5ミリメートルに達すると、ますが転倒して排水される。転倒時にスイッチが作動し、室内に置いた記録器が動く。この信号を有線あるいは無線を使って遠方に記録する装置は、ロボット雨量計ともよばれる。ごく短い時間の雨量は、受水器からの雨水をノズルを通して灯油の中に滴下し、光ビームの断続をカウントして測る。凍結を防ぐため電気ヒーター、温水、不凍液などを使う雨量計もある。
雨量の観測は、すでに紀元前4世紀ごろインドで行われたというが、史料に残っているものでは15世紀の中ごろ朝鮮での雨量計による記録が知られている。
[篠原武次]
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