雨量計(読み)うりょうけい(英語表記)rain gauge

翻訳|rain gauge

精選版 日本国語大辞典 「雨量計」の意味・読み・例文・類語

うりょう‐けい ウリャウ‥【雨量計】

〘名〙 降水量を測る器械の総称。受水器に受けた雨水を貯水びんに集め、定時に測る形式が一般に用いられる。〔工学字彙(1886)〕

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デジタル大辞泉 「雨量計」の意味・読み・例文・類語

うりょう‐けい〔ウリヤウ‐〕【雨量計】

雨量をはかる計器。一般に漏斗ろうと状の受水器で雨を受け、地中の貯水瓶に蓄えてはかる形式のものが多く用いられ、自記雨量計無線ロボット雨量計などもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「雨量計」の意味・わかりやすい解説

雨量計 (うりょうけい)
rain gauge

雨量を測定する器械。雨量は,ある場所に降った雨を水平な面の上に受け,そこから外へ流れ出すこともなく,また他所に降った雨がそこに流れ込むこともないようにしたときにたまった水の深さで表される。測定の単位はmmである。最も基本的な雨量計は,直円筒の一端に底をつけ,鉛直に設置したものである。上端の受水口から底まで直径が同じであるから,その中にたまった水の深さがそのまま雨量となる。図は貯水型雨量計と呼ばれるものである。直径20cmの受水口から入った雨は貯水瓶にためられ,これを雨量升に移して測定する。この場合,1mmの雨量は31.4㏄になるから,雨量升にはこの体積を1mmとするように目盛ってある。雨量升の直径は受水口の直径よりかなり小さくしてあるから,雨量升の中ではこれらの断面積に逆比例して水の深さが拡大されるので,雨量測定の精度がよくなる。しかし人手を要する。転倒升型雨量計は,受水口から入った雨が三角形の断面をもつ二つの升の一方に一定量だけたまると,その重さで反対側に転倒し,別の升に水がたまるようになって同じことを繰り返す。転倒するとき一つの信号を出すようになっており,これを受けて雨量を記録することができるので,この型式は自記雨量計として使用されている。

 空から降ってくる雪,あられ,ひょうなどの固体粒子と雨とをあわせて降水といい,その量を降水量という。この場合固体粒子は溶かして水にして測定する。雨は風によって吹き流されるから,建物植物などによって風が乱されることの少ない場所に雨量計を設置することが望ましい。雨量計を設置した地面には,外側に降った雨が跳ね返って雨量計の中に入ることがないように芝草などを植えておく。人の住めないような山中で測定した雨量を電波に乗せて遠方に送信する無線ロボット雨量計なども現在使用されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雨量計」の意味・わかりやすい解説

雨量計
うりょうけい

降水量を測るために使用する観測計器。いちばん簡単なものは、底のある金属製円筒を、空地などに鉛直に設置したものである。中にたまった降水の深さを物差しで測るか、水量あるいは重さを測定する。雨雪量計ともよばれる。日本で標準とされている雨量計は、口径が20センチメートルで、受水口は地面から数十センチメートルにする。正確に雨量を測るには、建物などの影響がない場所を選び、雨滴の跳ね返りを防ぐため、周囲には芝草などを植えるのがよい。

 利用目的に応じていろいろな雨量計がある。室内で記録させるには、転倒ます型自記雨量計がよく用いられる。受水器に入った雨水は、回転軸を中心にしてシーソーのように動く転倒ますの片方に注ぐ。それがある量、たとえば雨量で0.5ミリメートルに達すると、ますが転倒して排水される。転倒時にスイッチが作動し、室内に置いた記録器が動く。この信号を有線あるいは無線を使って遠方に記録する装置は、ロボット雨量計ともよばれる。ごく短い時間の雨量は、受水器からの雨水をノズルを通して灯油の中に滴下し、光ビームの断続をカウントして測る。凍結を防ぐため電気ヒーター、温水、不凍液などを使う雨量計もある。

 雨量の観測は、すでに紀元前4世紀ごろインドで行われたというが、史料に残っているものでは15世紀の中ごろ朝鮮での雨量計による記録が知られている。

[篠原武次]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雨量計」の意味・わかりやすい解説

雨量計
うりょうけい
rain gauge

ある時間内に地表の水平面に達した降水の量を水の深さで表したものを降水量といい,それを観測する測器を雨量計という。また,降雪から降水量を求める測器を雪量計という。雨量計は,測定方式の違いにより,以下の種類に分けられる。(1) 貯水型雨量計 貯水量をはかる。(a) 貯水型自記雨量計 自動化されていない観測所の雨量計としては世界的にほぼ同じ型のものが使われている。日本では,転倒ます型雨量計に代わる 1960年代まで使用されていた。内径 20cmの受水器をもつ円筒容器の中に,漏斗,貯水瓶などが収納されている。雨水は受水口から漏斗を通って貯水瓶にたまり,それを一定時間ごとに雨量ますに移してはかる。(b) 自記雨量計 受水器を小屋などの上に取り付け,鉛管などによって雨水を小屋の中にある貯水タンクに導く。貯水タンクの中には水位とともに上下する浮きが入っており,自記紙に降水量が記録される。(2) 転倒ます型雨量計 ますの転倒回数をはかる。内径 20cmの受水口をもつ円筒形の受水器の中に,三角形のますを左右に 2個取り付けた転倒ます,パルス発生スイッチなどが入っている。ますは,降水量 0.5mmに相当する量がたまると反対方向に転倒して雨水を排出する。転倒がパルスとなって発生し,その回数を計測することにより降水量を測定する。

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百科事典マイペディア 「雨量計」の意味・わかりやすい解説

雨量計【うりょうけい】

雨量を測る器具。通常漏斗(ろうと)状の受水器,貯水びん,たまった雨水を移し替えて雨量を読みとる目盛のついた細長い雨量枡(ます)などからなる。受水器の縁はナイフの刃形で,直径約20cm。
→関連項目露場

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