改訂新版 世界大百科事典 「クロアシネコ」の意味・わかりやすい解説
クロアシネコ
black-footed cat
Felis nigripes
足の底が黒い小型の食肉目ネコ科の哺乳類。アフリカ南部の乾燥地帯にすむ。体長34~50cm,尾長15~20cm,体重1.5~2.8kg。リビアネコやイエネコに近縁の原始的な種で,顔が丸く鼻鏡が小さいが,それらより体が小さく,耳介の先がやや丸い。額には暗色の縞がなく小さな斑点を散布し,前肢に3~4本の顕著な黒帯がある。後足の後面は黒色。体は淡黄褐色で胴に大きな黒い斑点があり,斜め下に向かって並ぶ。斑点はツシマヤマネコなどのように中央が淡色でない。尾は端が黒く,それに続いて2~3本の黒帯がある。単独ですみ,ふつう地下の穴を巣とするが,しばしばシロアリの塔にすむため,現地ではant-hill tigerと呼ばれる。ジリスなどの小獣,小鳥とその卵,トカゲ,昆虫などを食べる。妊娠期間は63~68日,1腹1~2子。子は6~9日で眼が開き,34~35日で固形食をとり始め,3ヵ月で独立する。寿命は飼育下で13年。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報