スペイン風邪(読み)スペインカゼ(その他表記)Spanish flu

デジタル大辞泉 「スペイン風邪」の意味・読み・例文・類語

スペイン‐かぜ【スペイン風邪】

1918年から1919年にかけて全世界流行したインフルエンザ悪性で伝染力が強く、死亡者数は第一次大戦による死者数を上回ったといわれる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スペイン風邪」の意味・わかりやすい解説

スペイン風邪
スペインかぜ
Spanish flu

1918~19年に大流行したインフルエンザ。20世紀最大の規模で,死亡者数では人類史における最大級の世界的流行(パンデミック)に数えられる。原因ウイルスは,インフルエンザウイルス A型(H1N1亜型)であったことが判明している。流行は 3波に分かれて起こった。第1波は第1次世界大戦中の 1918年3月初めにアメリカ合衆国カンザス州のファンストン基地から始まったとみられる。4月にこの基地からヨーロッパ西部に到着したアメリカ軍兵士らがウイルスを運んだと考えられており,7月にはポーランドにまで広がった。第1波のインフルエンザは比較的軽症であった。しかし夏の間に致死性のより高いインフルエンザの存在が確認され,1918年8月に猛威をふるい始めた。この第2波では感染者は肺炎が急速に進行し,多く発症から 2日後には死亡した。第3波は続く冬に起こり,春には終結した。第2波と第3波による死亡者の約半数は,インフルエンザで死亡にまでいたることはまれな 20~40代であった。流行は世界中で起こり,まず港町で発生し,主要な運輸機関の経路に沿って町から町へと拡大した。インドでは少なくとも 1250万人が死亡したとみられ,アメリカでは約 55万人が,日本では 39万人が死亡した。全世界で推定 2500万人が亡くなり,その多くは第2波と第3波で命を奪われた。

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世界大百科事典(旧版)内のスペイン風邪の言及

【インフルエンザ】より

…インフルエンザは周期的に流行することがその特徴であり,ほぼ10年ほどの間隔で大小の流行をくりかえしている。 インフルエンザ流行史でとび抜けて大きな災厄をもたらしたのは,〈スペイン風邪〉として知られる1918‐19年の世界的大流行で,かつてのペスト(黒死病)の惨禍を想起させる疫病史上の一大事件となった。その原発地について,最も可能性の高いのはアメリカと中国であった。…

※「スペイン風邪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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