改訂新版 世界大百科事典 「ムンカーチ」の意味・わかりやすい解説
ムンカーチ
Mihály Munkácsy
生没年:1844-1900
ハンガリーの画家。ムンカーチ(現,ウクライナ領のムンカーチェボMunkachevo)に生まれ,ボン郊外エンデニヒEndenichの精神病院で没。貧しい少年時代の後,1863年よりブダペスト,ウィーン,ミュンヘン,そして68年よりデュッセルドルフで,クールベの影響下のドイツの写実主義を学ぶ。70年《死刑囚監房》でパリのサロンの金賞をとって一躍有名となり,72年よりパリに定住。やがて印象派の影響を受けはじめ,即興的な作品が70年代後半にみられる。80年前後には室内の女性たちを描く一連の作品があり,注文によるものとはいえ,その重厚な色彩は彼独自のものである。またコローに傾倒した風景画のほか,大画面の歴史画やキリスト受難伝の絵画化にも従事し,90年にはマカルトH.Makartの後を引き継いで,ウィーン美術史美術館の吹き抜けの天井画を完成させた。最晩年は,再び少年時代のプリミティブな様式に回帰したように思える。
執筆者:鐸木 道剛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報