日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロマーノ」の意味・わかりやすい解説
ロマーノ
ろまーの
Giulio Romano
(1499―1546)
イタリアの画家、建築家。本名Giulio di Pietro de Gianuzzi Pippi。ローマに生まれ、ラファエッロの愛弟子(まなでし)となる。師の助手として、バチカン宮殿諸室およびビラ・ファルネジーナの壁画装飾に従事。師の死後、未完の遺作『キリストの変容』(バチカン美術館)の完成に大きな役割を果たす。1524年マントバに赴き、ゴンザーガ家の建築主任として活躍、同地の諸建築の整備に貢献して、同地に没した。ことにパラッツォ・デル・テ(1525~35)は彼の代表的建築作品である。邸内「巨人の間」の『巨人の墜落』にみるイリュージョニスティックな装飾壁画は、マニエリスム絵画の傑作の一つに数えられる。彼の建築作品は16世紀後半の建築家たち、ことにパッラディオに影響を及ぼし、また彼の絵画作品におけるイリュージョニズムはバロックの天井画に多大の感化を与えた。
[三好 徹]