前衛書道(読み)ゼンエイショドウ

デジタル大辞泉 「前衛書道」の意味・読み・例文・類語

ぜんえい‐しょどう〔ゼンヱイシヨダウ〕【前衛書道】

伝統的な書の概念を離れて、墨色筆致余白などによる純粋な造形性を追求する書道。第二次大戦後に興り、昭和30年代以降に盛んになった。墨象ぼくしょう

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「前衛書道」の意味・わかりやすい解説

前衛書道
ぜんえいしょどう

第二次世界大戦後に始まり、とくに昭和30年代以降盛んになった新しい造形表現を目ざす書道の一分野。伝統的書道に対し、文字の形や意味にとらわれず、純粋に墨、筆、紙の特性を生かし、墨色、筆致、余白などの美を、独自の芸術的感覚で追求しようと目ざしている。別に墨象(ぼくしょう)ともよぶ。

[名児耶明]

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百科事典マイペディア 「前衛書道」の意味・わかりやすい解説

前衛書道【ぜんえいしょどう】

第2次大戦後の日本に現れた書の傾向。伝統的な書を否定し,文字を単なる記号として扱い,抽象美を表現しようとするもの。漢字字形そのものに内在する審美性から新しい造形を目指したり,文字としての字形を排除して絵画的な空間構成を追求する。森田子竜,井上有一ら墨人会(1952年結成)の作家勅使河原蒼風,篠田桃江らが代表的。

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世界大百科事典(旧版)内の前衛書道の言及

【書】より

…伝統的書道は文字を書くところに意味があったが,文字の束縛を離れて新しい芸術観に基づいた造形性を強調する革新的書道が生まれた。これは前衛書道と呼び,古典を基礎とする古来の伝統を打破する新しい書道分野である。これは海外において今後も注目されるであろう。…

※「前衛書道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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