潜水医学(読み)センスイイガク

デジタル大辞泉 「潜水医学」の意味・読み・例文・類語

せんすい‐いがく【潜水医学】

潜水環境において、身体が受ける影響変化について研究する医学の一部門。主に水中の高圧下で、生体内に不活性ガスが溶け込むことによって生じる潜函病減圧症)や窒素酔いなどの予防、および作用機序に関する研究が知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「潜水医学」の意味・わかりやすい解説

潜水医学
せんすいいがく

潜水病応急処置気圧障害(潜水障害)の治療や予防を扱う医療分野。専門医・専門技師として、日本高気圧環境・潜水医学会が認定する「高気圧酸素治療専門医」および「臨床高気圧酸素治療技師」がいる。一般に潜水病とよばれる病態潜函(せんかん)病あるいは減圧症などと別称される。これは気圧の高い環境から通常の圧力環境へ急激に減圧していく状況で発症する。気圧の高い環境下で生体組織に溶け込んでいた窒素が減圧によって気泡となり、組織が圧迫されたり脳血管に塞栓(そくせん)を生じたりしておこるため、窒素酔いあるいは窒素塞栓症ともよばれ、高気圧障害の一つとされる。潜函(潜水)作業などでよくみられるため潜水麻痺(まひ)とよばれることもある。潜函(潜水)作業中に突然意識が消失して死に至ることもあり、これは「潜水夫失神」とよばれる。潜函病の治療としては再度圧力をかけて行う再圧治療(高気圧酸素療法)があり、また予防のためには「高気圧作業安全衛生規則」の業務管理規定に従った減圧管理や健康診断を実施する。

[編集部]

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