朝日日本歴史人物事典 「藤原清正」の解説
藤原清正
生年:生年不詳
平安中期の歌人。堤中納言兼輔の子。蔵人,斎院長官,左近衛少将などを経て,紀伊守に至る。三十六歌仙のひとり。天暦の内裏歌合に度々詠進し,屏風歌も多く制作するなど,村上,朱雀両天皇期に活躍した専門歌人。『後撰集』以下の勅撰集に28首が入集している。家集に,勅撰集的な部立によって構成された他選家集『清正集』がある。「石上ふりにし里を来て見れば昔かざしし花咲きにけり」「天雲の立ちのみさわぐ秋の夜は月影さへぞしづ心なき」の歌の如く,技巧発想ともに古今調を基にした,平明で流麗な調べの叙景歌を得意とした。<参考文献>山口博『王朝歌壇の研究/村上・冷泉・円融朝篇』
(中周子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報