オオゴキブリ(読み)おおごきぶり(英語表記)Panesthia spadica

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオゴキブリ」の意味・わかりやすい解説

オオゴキブリ
おおごきぶり / 大蜚蠊
[学] Panesthia spadica

昆虫ゴキブリ目オオゴキブリ科の昆虫。体は黒色ないし黒褐色の頑丈なゴキブリで、体長40~45ミリメートル。ほかのゴキブリと異なり、体形が厚く、雄の前胸背板の前部左右は丸く突出する。触角は短く、肢(し)部に鋭い棘(とげ)が多数生ずる。朽ち木の中にトンネルをつくり、そこに成虫幼虫が入り混じって群居するが、これは社会性昆虫の兆しと考えられている。木質部を食べ、腸内にもっている共生微生物の力を借りて消化する。本州から九州の屋久(やく)島にまで分布するが、家屋には入らない。

[山崎柄根]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オオゴキブリ」の意味・わかりやすい解説

オオゴキブリ
Panesthia spadica

ゴキブリ目オオゴキブリ科。森林中のゴキブリで,体は光沢のある黒色,厚みがある種。体長 40~45mm。頭部は前胸背下に隠れ,触角は太く短い。前胸背は台形で,雄では両前縁角が丸みのある突出部となってわずかに前方に出るが,雌ではこれが弱い。この前胸背は中央がへこみ,その左右はこぶ状に隆起する。前翅は革質で厚く,腹端に達するが,先端はすり切れていることが多い。肢は太く,鋭いとげを多数もつ。腹部は広く,後端部側縁に多少の刻みがあり,鋭歯をつくる。朽ち木中にすみ,それを食べ,腸内に宿す原虫によって消化を助けている。本州から屋久島にまで分布する。 (→ゴキブリ類 )

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