ナタネ(菜種)油(読み)なたねあぶら

改訂新版 世界大百科事典 「ナタネ(菜種)油」の意味・わかりやすい解説

ナタネ(菜種)油 (なたねあぶら)
rapeseed oil

アブラナ科アブラナ属の植物の種子から圧搾法または抽出法で採取した油。含有脂肪酸としてはエルカ酸(炭素数22,1不飽和)を多く含むため褐黄色を帯び,特有の臭気をもつことが食用油として問題であったが,改良によりエルカ酸の少ない品種も作られるようになった。従来の一般品の物性は次のとおりである。融点-12~0℃,比重d145=0.910~0.918,屈折率n20D=1.472~1.476,ヨウ素価94~107で,半乾性油に分類される。ケン化価は167~180と高く,比較的高分子量の脂肪酸を含むことを示す。脂肪酸組成はエルカ酸28~56%,オレイン酸12~22%,リノール酸15~20%,ゴードイン酸(炭素数20,1不飽和)9~15%,リノレン酸11~14%,パルミチン酸2~4%,ステアリン酸1~2%。用途は食用油,長鎖脂肪酸のエルカ酸,ベヘン酸などの原料,潤滑油添加剤,ゴムの充てん(塡)剤(ファクチス)の原料など。
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百科事典マイペディア 「ナタネ(菜種)油」の意味・わかりやすい解説

ナタネ(菜種)油【なたねあぶら】

ナタネの種子から圧搾法・抽出法で採取される半乾性油成分はエルカ酸,オレイン酸リノール酸など。粗製品黄褐色精製品白絞油)は淡黄色。食用のほか,潤滑油,焼入油などとして用いる。
→関連項目白絞油ナタネ(菜種)

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世界大百科事典(旧版)内のナタネ(菜種)油の言及

【油】より

…疎水性の液状物質を一般に油という。その代表的なものに動植物性油と鉱物性油とがある。前者は長鎖脂肪酸のグリセリンエステルすなわちトリグリセリドを主成分とし,後者は炭化水素が主成分であるというように,その化学的組成はまったく異なる。動植物性油については油脂という名称も用いられるが,この場合,常温で液体のものを油oil,固体のものを脂fatと区別する。油脂は生物組織の構成成分として,またエネルギー源として,タンパク質や炭水化物とともに重要な成分である。…

【食用油】より

…食用に適する油脂の総称。常温で液状のものは油(脂肪油),固体のものを脂(脂肪)というが,通常用いているダイズ油,ナタネ油,ゴマ油などは植物性食用油である。動物性食用油の部類に入る魚油鯨油は酸化変敗を受けやすく,不快臭をもちやすいため,そのままではほとんど用いられない。…

【ナタネ(菜種)】より

…日本で,種子からナタネ油をとるために栽培され,ナタネと総称されるものには,アブラナ科の,植物学的に異なった2種の作物がある。その一つアブラナBrassica campestris L.(英名Chinese colza。…

【油料作物】より

…世界の主要生産国はカナダ,ついでインド,中国である。ナタネ油は主として食用であり,てんぷら油,サラダ油,マーガリン,菓子製造用に用いられる。ゴマは日本では輸入ものが多い。…

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