翻訳|sampling
サンプリングともいう。統計調査の対象となる集団からその構成要素の一部分(標本)をとりだして調査に付すいわゆる標本調査において,標本のとり方を抽出法(あるいは標本抽出法)という。抽出法にはいろいろな技法があるが,各構成要素を標本にするか否かを一定の確率法則に従う手段で決める方法を無作為抽出法(あるいは任意抽出法),確率的には決めない方法を有意抽出法(あるいは有意選択法)という。有意抽出法の代表的なものとしては,アンケート法,典型(調査)法,割当法などがあり,これらはそれぞれ目的や抽出法を異にする。アンケート法とは,当該の問題の専門家や関係者を適当な方法で選び一定の質問事項に対する意見を調査する方法である。典型(調査)法は,調査者が特定した理論的基準に照らして対象集団を代表すると考えられる要素(単位)を少数選出し,詳細に観察する方法である。この調査法は,主として,対象集団の諸特性・要因間の内的連関や時間的変化を探究するために行われることが多く,平均などの集団の量的特性値の正確な推定が第一義的な目的であるとは限らない。これに対して,割当法(クォータ法ともいう)は特性値の推定を第一義的な目的にするが,これは対象となる集団全体を着目したいくつかの標識に関して分類し,それらの構成比率が標本の中での構成比率に一致するように標本をとり出す方法である。この方法においては各グループの中での標本のとり方は規定されていない。割当法は形式的には無作為抽出法の中の一技法である層化抽出法と似ているが,グループ内での標本の抽出法の点で明確に異なる方法である。このため,着目した標識に関しては標本は構成比率のうえで対象集団の縮図になっているが,それ以外の標識に関しては縮図になっているという保証はない。1948年のアメリカ大統領選挙予想の失敗は割当法のこのような欠陥を暴露した例として有名である。この失敗は着目されなかった学歴や収入などに関して上層へ偏っていたことに起因すると指摘されているからである。
有意抽出法にあってはいずれの方法の場合にも標本分布が導けないから,元の集団の特性値(母平均,母分散など)の標本に基づく推定誤差の定量的評価はできない。これを可能にするのが無作為抽出法であり,無作為抽出法の抽出技法としてはもっとも原型的な単純無作為抽出法のほか,層化抽出法,多段抽出法,系統抽出法など多くの技法が考案されている。
→標本調査 →無作為抽出
執筆者:坂元 慶行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…サンプルともいう。標本の選び方を抽出法というが,抽出法は,その方式の相違によって有意抽出法,無作為抽出法に二分され,それらはさらに多くの技法に細分することができる。実際の調査で多用される無作為抽出法(ランダム・サンプリング)によって選び出されたものをとくに無作為標本(ランダム・サンプル)という。…
※「抽出法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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