ビタミン B6(読み)ビタミンビーロク

化学辞典 第2版 「ビタミン B6」の解説

ビタミン B6
ビタミンビーロク
vitamin B6

ビタミン B6 と総称される化合物は,ピリドキシンピリドキサールピリドキサミンの3型を包含する.天然には,大部分リン酸エステルの型で存在する.ピリドキシン:C8H11NO3(169.18).白色結晶.遊離塩基の融点は159~160 ℃.塩酸塩C8H11NO3・HCl(205.64)の分解点は204~208 ℃.水,アルコール類に可溶,ほかの有機溶媒に不溶.光により徐々に変化する.ピリドキシンは主として広く動物,植物界に分布し,肝臓酵母胚芽,および豆などに多く,ピリドキサール,ピリドキサミンはむしろ動物界に多く見いだされる.ピリドキシンは,最初,ネズミ必須な物質として発見され,ネズミ抗皮膚炎因子またはネズミ抗ペラグラ因子と命名されたが,その後の研究で,ネズミとヒトにおいてはピリドキシンは,活性のより強い誘導体,ピリドキサール5-リン酸,ピリドキサミンリン酸に転換され,タンパク質代謝におけるアミノ基転移や,脱炭酸反応などを行う酵素の補酵素として,重要な役割を果たしていることが明らかになった.現在,ビタミン B6 欠乏症は,シロネズミイヌブタキツネ,ネコ,サルなどにおいて,けいれん,筋力低下,脂漏性皮膚炎,ペラグラ様皮膚炎,低色素性小球性貧血末梢神経脱髄などの症状として認められ,ヒトにおいても脂漏性皮膚炎,口内炎神経炎などが認められている.[CAS 58-56-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報