口内炎(読み)こうないえん(英語表記)stomatitis

  • (のどの病気)
  • (口・あごの病気)
  • 口内炎 stomatitis

翻訳|stomatitis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

口腔内粘膜炎症口腔内粘膜が発赤,腫脹し,ただれる。痛みがひどく,口臭がある。熱湯義歯などの物理的刺激,薬品などによる化学的刺激,全身性の疾患などによって起る。カタル性,潰瘍性,アフタ性,壊疽性など,症状によって多くの種類がある。アフタ性は口腔粘膜に直径 2mmぐらいの小型の有痛性潰瘍が多発するもので,最もよくみられる。アレルギーが関係していることも多く,この場合はなおりにくい。ウイルスが原因になる手足口病,ヘルパンギナなども口内炎を起す。原因療法のほか,うがい,洗浄軟膏の局所塗布などを行うが,決定的な治療法はない。

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家庭医学館の解説

 口の中の粘膜(ねんまく)にいろいろな症状が現われる口腔粘膜疾患(こうくうねんまくしっかん)のなかで、比較的広い範囲に病変がおこって、炎症をともなう場合を、口内炎と総称します。
 口腔粘膜が赤くなって食物がしみる程度から、粘膜が浅くただれる、粘膜に盛り上がりができて出血しやすくなる、水ぶくれができる、病変部が偽膜(ぎまく)でおおわれるなど、原因や程度によって症状はさまざまで、多くは痛みをともないます。
 その症状によってカタル性口内炎(「カタル性口内炎」)、アフタ性口内炎(「アフタ性口内炎」)、潰瘍性口内炎(「潰瘍性口内炎」)などに分けられます。
 口の中に原因があっておこる場合と、全身的な病気の症状として口内炎がおこる場合とがありますが、原因がわからない口内炎も少なくありません。

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世界大百科事典 第2版の解説

口腔粘膜に種々の炎症病変がみられる状態をいい,口腔のみの疾患の場合と全身疾患の口腔内症状として現れる場合とがある。病態によって,カタル性,水疱性,潰瘍性,および壊疽(えそ)性に分けられる。(1)カタル性口内炎 単純性口内炎ともいわれ,粘膜の発赤と腫張,粘液分泌の増加などがみられるもので,口内の熱感,唾液の粘稠化等の症状があり,数日間で自然治癒することが多い。(2)水疱性口内炎 口腔粘膜に多数の水疱がみられるもので,水疱は短時間で破れて潰瘍となり,潰瘍性口内炎に移行する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

口腔(こうくう)粘膜に現れる炎症をすべて口内炎とよぶ。しかし狭義では、炎症が口腔粘膜の一部に限局しているときには、習慣上、その解剖学的位置に基づいて歯肉炎、口唇炎、舌炎、頬(きょう)炎、口蓋(こうがい)炎などとよび、これらの二つ以上が合併しているときに口内炎とよぶ。

[矢﨑正之]

原因と症状

細菌、ウイルス、真菌などの感染によって生じることが多く、口腔が不潔な場合にみられるほか、全身の抵抗力の減弱したときにおこる。また、適合の悪い義歯、酒、たばこ等の機械的、化学的、あるいは温熱的刺激によって生じるものもある。口内炎は、その病像によってカタル性(紅斑(こうはん)性)口内炎、水疱(すいほう)性口内炎、潰瘍(かいよう)性口内炎および壊疽(えそ)性口内炎に分けられる。潰瘍性口内炎の場合、潰瘍の状態により、さらにびらん性口内炎、不定形潰瘍性口内炎、偽膜(ぎまく)性口内炎、壊死(えし)性潰瘍性口内炎、およびアフタ性口内炎などに細分される。口内炎の症状としては、口腔粘膜の発赤、腫脹(しゅちょう)、灼熱(しゃくねつ)感、疼痛(とうつう)および表皮剥脱(はくだつ)、びらん、水疱、潰瘍、壊疽などがみられ、口臭、唾液粘稠(だえきねんちゅう)度の増加がみられる。重症のものでは発熱があり、そしゃく、嚥下(えんげ)の機能障害を伴い、局所リンパ節も腫(は)れる。

[矢﨑正之]

治療

全身的または局所的安静を第一とする。原因を除去し、口腔内の清掃消毒、洗口含嗽(がんそう)剤の投与などを行う。疼痛に対しては局所麻酔剤を塗布する。必要に応じて抗生物質、ステロイド剤、非ステロイド系消炎剤、サルファ剤などを、局所または全身的に投与することもある。全身状態の回復を図るためには、ビタミン剤やブドウ糖液の輸液や輸血を行う。急性炎症が消退したのち、歯石除去や保存不可能な歯の抜去、歯周ポケット(歯と歯肉との間の溝)の除去などを行い、口の中を清潔にすると、口内炎の再発防止に役だつ。治癒後に組織欠損や瘢痕(はんこん)性開口障害がみられる場合には、後日、形成手術を行う。

[矢﨑正之]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 口腔粘膜の炎症性疾患の総称。口内を不潔にしたためにおきるカタル性のもの(単純性口内炎)や、子どもや体力の弱った成人に現われるアフタ性のもの(潰瘍性口内炎)などがある。口腔炎。口炎。
※薬の効用(1964)〈佐久間昭〉九「唾液にも排泄される水銀剤は口内炎の原因になり」

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六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな病気か

 口内炎とは、ひとつの病気(疾患)を指す言葉ではなく、口のなかの粘膜に生じる炎症を総称したもので、炎症が比較的広範囲あるいは散在性に生じたものをいいます。口内炎が特定の場所に限局している場合は、舌炎(ぜつえん)歯肉炎(しにくえん)口角炎(こうかくえん)のように呼ぶのが一般的です。カンジダ(真菌)やヘルペスウイルス感染による口内炎など原因が明らかな場合は、カンジダ性口内炎、ヘルペス性口内炎のように呼ばれます。

 また、「口腔粘膜炎(こうくうねんまくえん)」は、抗がん薬、放射線照射などの治療に関係して起きる口のなかの粘膜の炎症を指し、一般的に使われる「口内炎」とは区別されます。

原因は何か

 原因は細菌、ウイルス、アレルギー(歯科金属やフルーツなどの食物)、薬剤などさまざまですが、原因が特定できないものも多く、白血病、貧血など血液の病気で生じるものもあります。誘因として疲労、体力の低下、免疫異常、ビタミン欠乏、精神的ストレス、遺伝的要因、口腔清掃不良などがあげられます。

症状の現れ方

 口内の広い範囲の粘膜が赤くただれたり、水ぶくれやアフタと呼ばれる小さな丸い潰瘍や大きな潰瘍ができたりします。時に、偽膜(ぎまく)という白い苔状(こけじょう)の膜ができることがあります。

 自覚症状としては、はじめは口が荒れたり、しみて痛い程度ですが、進行すると接触痛が強くなり、食事がとれない、飲み込みにくい、しゃべりにくいなどの症状が出ます。

 口角炎は口角部が切れたりただれたりする疾患で、カンジダ菌やビタミンB群の欠乏が原因で起こります。

検査と診断

 局所的な原因で起こる口内炎の診断は比較的容易ですが、全身的な病気で起こるものでは血液検査、免疫学的検査などが必要になることがあります。

 口角が切れたり粘膜が赤くなりしみるなどの症状がある時には、カンジダ菌の存在を調べるための培養検査や顕微鏡検査を行います。

治療の方法

 局所的には、うがい薬や軟膏が用いられます。ウイルスや真菌感染のように原因がわかっている場合には、それぞれに効く薬を使用します。全身的な病気によるものでは、それぞれに応じた薬を服用しますが、その場合でも口のなかを清潔にすることが大切です。

病気に気づいたらどうする

 症状が軽い場合は、様子をみていてもよいのですが、長引くようなら専門医を受診することをすすめます。口全体に口内炎ができてしまったら、食事がとれないために体力を消耗して余病を起こすことがあるので、早めに口腔内科、口腔外科、内科、皮膚科、小児科などを受診してください。

北川 善政, 山崎 裕

どんな病気か

 口内炎とは、口腔の粘膜に炎症性の病変が生じた疾患の総称で、これにはさまざまなものが含まれています。

原因は何か

 化学物質による化学的傷害、義歯などの接触による物理的傷害、一般細菌、結核(けっかく)梅毒(ばいどく)真菌(しんきん)(カビ)やウイルスの感染、鉄、ビタミンの欠乏などが原因としてあげられます。そのほか、皮膚疾患、膠原病(こうげんびょう)など全身疾患に伴うものもあります。原因不明のことも少なくありません。

症状の現れ方

 口のなかに痛みや、違和感が現れます。鏡を見て、偶然に口のなかの異状に気づくことも少なくありません。

検査と診断

 粘膜の性状をよく観察し、症状の現れたきっかけや経過などを手がかりに診断します。

 口の粘膜が全体的に赤くなっている場合は、カタル性口内炎が考えられます。細菌感染などが原因です。

 粘膜に、数㎜ほどの大きさの丸くて表面が白っぽく、周囲が赤くなった病変がみられることがありますが、これをアフタと呼びます。アフタ性口内炎ベーチェット病などでみられます。

 粘膜が深く掘れたような病変では、潰瘍性(かいようせい)口内炎が考えられます。むし歯義歯が原因の場合もありますが、結核梅毒、がんなどとの鑑別のために組織検査が必要です。

 点状の白色病変がみられた場合、真菌の一種であるカンジダによる口内炎が疑われます。

 ウイルス感染による口内炎では、単純ヘルペスウイルスが原因のものが多くみられます。唇や口のなかの粘膜に小さい水ぶくれ様の病変ができ、再発を繰り返すことが特徴です。また、手足口病(てあしくちびょう)麻疹(ましん)でも口のなかに病変がみられ、診断の決め手になることもあります。

 このほか、天疱瘡(てんぽうそう)類(るい)天疱瘡扁平苔癬(へんぺいたいせん)などの皮膚疾患が口のなかに現れることや、全身性エリテマトーデスなどの膠原病に伴って、口の粘膜に病変がみられることもありますので、全身的に異変がないかどうかもよく調べます。

治療の方法

 うがい薬などで口腔内を清潔に保ち、それぞれの原因に対する治療をします。

病気に気づいたらどうする

 重大な疾患との鑑別が必要な場合もありますので、必ず医師の診察を受けるようにしてください。疾患によって受診科は異なってきますが、まず耳鼻咽喉科医に相談するのがよいでしょう。

一宮 一成

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