中田沼(読み)なかだぬま

日本歴史地名大系 「中田沼」の解説

中田沼
なかだぬま

中田町北部から岩手県西磐井にしいわい花泉はないずみ町にかけてあった周囲一〇・四八キロ、面積五三六・五ヘクタールに及ぶ大規模な用水沼。現在はまったく干拓されて、豊かな水田地帯となっている。「桜場村安永風土記」に「中田沼、廻リ田舎道五里程。新井田村黒沼村桜場村石森村加賀野村森村六ケ村入合ニ御座候」とあるが、この大溜池築造事情には触れていない。この沼の立地条件をみると、西北部は岩手・宮城の県境に延びる一関いちのせき丘陵末端に囲まれ、東部も北上丘陵から分派した弥勒寺みろくじの丘に限られる。南方登米の平野に向かって広く開け、溜池の築造には適しており、すでに古く丘陵からの小渓流を利した小規模な溜池は存在したと思われる。享保一八年(一七三三)上流の北上川西岸に石枠工事を施して取水の便に利し、その下端河岸の小名倉こなぐら山に潜穴くぐりあなを開削して丘陵下を通水、さらに平堀によって沼に水を導き入れた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の中田沼の言及

【中田[町]】より

…江戸時代に新田開発された集落が多く,中心集落の石森(いしのもり)は,付近の農村の小商業中心地である。町名はかつて町域北部にあった中田沼にちなむ。中田沼は面積530haにわたる湖沼で,灌漑用水源として使われていたが,1907‐12年に干拓され水田が開かれた。…

※「中田沼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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