弥勒寺(読み)みろくじ

日本歴史地名大系 「弥勒寺」の解説

弥勒寺
みろくじ

[現在地名]四條畷市南野三丁目

飯盛いいもり山麓の北側、権現ごんげん川沿いの石垣上に南面して建つ。紫雲山と号し西山浄土宗。本尊阿弥陀如来。由来は明らかでないが、中興開山として雲上の名が知られる。雲上は元禄一〇年(一六九七)に没しており、一七世紀に寺容が整ったと考えられる。元文元年(一七三六)の南野村旧記帳(「四條畷市史」所収)に「道場畑村弥勒寺梁行三間・桁行七間半看坊地 但シ大念仏宗河州茨田郡佐太来迎寺末寺也」とあり、もと大念仏宗来迎らいこう(現守口市)末であった。

弥勒寺
みろくじ

[現在地名]会津若松市大町一丁目

五之ごの町がおお町に突き当るその西側にある。陬波山龍華院と号し、真言宗豊山派。本尊大日如来。武蔵国から来た僧秀哉が、応永三二年(一四二五)に開山したと伝える。初めは郭内の諏訪神社の神僧をしていたので、山号にしたといわれる。会津真言宗四ヵ寺の一。領主蘆名盛政は秀哉に帰依し、寺領一〇〇石を与え、大般若経六〇〇巻と十六善神画一軸を寄進した。また享保一六年(一七三一)会津藩三代藩主松平正容から材木一千六〇〇本を寄進され、元文四年(一七三九)客殿・庫裏・廊下が完成した。

弥勒寺
みろくじ

[現在地名]中田町上沼

低平な登米の平地北端にあるため、標高わずか二八・七メートルながら目立つ寺山てらやまの丘上にあり、長徳山歓喜院と号し、真言宗智山派、本尊は弥勒菩薩坐像。古くは天台宗の一山寺院として栄えたと伝えるが、戦国動乱の際廃絶、寛永年間(一六二四―四四)に復興して真言宗に転宗したという。「弥勒寺村安永風土記」では弥勒寺が別当地主である弥勒堂をあげており、大正期の「登米郡史」では弥勒寺の本尊は不動明王である。以来死者の霊魂の集まる地として、広く信仰を集め、とくに六月一五日の盆法会の際には多数の人々が参集する。「三年弥勒寺参りをすれば死んだ人に会える」と伝え、当夜の群衆中に死者に似た者を見付けると、誘って酒食を馳走するという奇習も生じた。

弥勒寺
みろくじ

[現在地名]御所市大字東佐味

かぜもり峠の南方所在。竜華山と号し、高野山真言宗、本尊弥勒菩薩(鎌倉時代)。天正七年(一五七九)本堂棟札には「奉上棟大和国葛上郡東佐味郷弥勒寺建立所也、大工藤原宗次于時天正七己卯二月廿二日施主彦太郎」のほか、多数の結縁者名を記す。

弥勒寺
みろくじ

加賀郡内にあった古代寺院。「三代実録」元慶九年(八八五)二月一六日条に「加賀国加賀郡弥勒寺預于定額」とある。かつては弥勒町跡地を比定する説があったが、昭和四九年(一九七四)以降、観法寺かんぽうじ町北部の稲荷神社のある丘陵上から瓦片・緑釉土器・土師器などが出土したため、同地に比定する説が有力となっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「弥勒寺」の意味・わかりやすい解説

弥勒寺
みろくじ

群馬県沼田市上発知(かみほっち)町にある曹洞(そうとう)宗の寺。詳しくは迦葉山龍華院(かしょうざんりゅうげいん)弥勒護国禅寺という。本尊は観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)。848年(嘉祥1)桓武(かんむ)天皇の第三皇子であった葛原(かつらはら)親王が上野(こうずけ)国(群馬県)の国守であったとき、領民安穏祈願のために慈覚(じかく)大師円仁(えんにん)を開基として建立。1456年(康正2)天巽慶順の代に天台宗から曹洞宗に改宗した。のち徳川家康によって幕府祈願所となり、慶順によって相模(さがみ)(神奈川県)大雄山最乗寺(さいじょうじ)から将来された天狗(てんぐ)(道了尊(どうりょうそん))の信仰によって、高尾山、栃木県古峯原(こぶがはら)とともに関東三天狗の一つとして広く崇拝されてきた。寺域は山の斜面にあり、山門、仏殿、中峯殿、迦葉堂、開山堂、鐘楼、朱雀(すざく)門などが建ち並んでいる。

[菅沼 晃]


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改訂新版 世界大百科事典 「弥勒寺」の意味・わかりやすい解説

弥勒寺 (みろくじ)

東京都墨田区にある真言宗豊山派の寺。山号は万徳山。本尊薬師如来川上薬師とよばれ,霊像として知られる。1610(慶長15)僧宥鑁(ゆうばん)が創建。はじめ小石川鷹匠町,ついで日本橋馬喰町にあったが,たびたび火災にあい,深川の地を経て,1689年(元禄2)に現在地に移る。徳川綱吉の帰依によって寺領100石を賜り新義真言宗の触頭,江戸四ヵ寺の一つとして栄えた。
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デジタル大辞泉プラス 「弥勒寺」の解説

弥勒寺

三重県名張市にある寺院。736年創建と伝わる。真言宗豊山派。山号は日朝山。平安時代の木造聖観音立像、木造十一面観音立像(いずれも国重文)などの文化財を有し、アジサイの名所としても知られる。

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