伊予奉書(読み)イヨホウショ

デジタル大辞泉 「伊予奉書」の意味・読み・例文・類語

いよ‐ほうしょ【×伊予奉書】

伊予国で作られた奉書紙。主として浮世絵・扇などに用いた。

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精選版 日本国語大辞典 「伊予奉書」の意味・読み・例文・類語

いよ‐ぼうしょ【伊予奉書】

〘名〙 伊予国(愛媛県)から産出する奉書紙の一種天保一八三〇‐四四)の頃から同国周桑郡(西条市西部)で盛んに生産した。主として錦絵、扇などに用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊予奉書」の意味・わかりやすい解説

伊予奉書
いよほうしょ

伊予国(愛媛県)で漉(す)かれた奉書紙。伊予国は古くから紙の産地として『延喜式(えんぎしき)』にも名を連ねている。天保(てんぽう)年間(1830~44)に、周桑(しゅうそう)郡国安村(現、西条(さいじょう)市国安)の篤農家田中佐平が土佐で製紙技術を習得したのち、帰村して奉書を漉いたのが始まりである。それが広まって、伊予奉書の名で有名になった。伊予柾紙(まさがみ)(柾目紙)とは同質で、浮世絵や扇の地紙などにも用いられた。コウゾ(楮)を原料とし、米の粉を混ぜて漉き上げるが、近年は木材パルプを使用することが多くなり、往年和紙風格が失われてきている。

[町田誠之]

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