コウゾ(読み)こうぞ

百科事典マイペディア 「コウゾ」の意味・わかりやすい解説

コウゾ

カゾとも。クワ科の落葉低木。カジノキヒメコウゾ雑種といわれ,カジノキに近いものと,ヒメコウゾに近いものとがある。和紙の原料として栽培されるものはカジノキに近いもので,葉の形は似ているが,カジノキほどはざらつかない。雌雄異株で5〜6月開花。果実はほとんど実らない。樹皮から和紙を作る。古く靭皮(じんぴ)繊維で布を織り木綿(ゆう)といった。各地で栽培されるが,生産量は近年漸減。ヒメコウゾは本州(岩手県以南)〜九州,東アジアの山地にはえ,雌雄同株で,果実は球状に集まり6〜7月赤熟し,食べられる。かつては粗紙楮紙)の原料とされた。
→関連項目宇陀紙生漉紙京花紙小菊植物繊維杉原紙石州半紙繊維作物泉貨紙檀紙典具帖唐紙鳥の子紙奈良紙西の内紙半紙奉書紙細川紙程村紙ミツマタ美濃紙和紙

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改訂新版 世界大百科事典 「コウゾ」の意味・わかりやすい解説

コウゾ (楮)
Broussonetia kazinoki Sieb.

山地の道端荒地などに多いクワ科の落葉低木で,樹皮の繊維が強く,和紙の原料とされる。枝は勢いよく直線状にのびて斜上し,若枝には微毛がある。葉は互生し,ゆがんだ卵形でざらつく。托葉はすぐ落ちる。雌雄同株。5月ころ,ほぼ球形の雄花序が新枝の基の方につく。雄花には4花被と,それに対生する4本のおしべがある。雌花序は新枝の先の方につき,球形に多数の雌花をつけ,赤い花柱が放射状に出る。雌花は袋状の花被に包まれ,その周囲には盾状の鱗片様のものが林立する。熟すと子房の柄がのびて,赤い小核果(果実)が花被から抜き出てくる。本州岩手県以南から,台湾,朝鮮や中国中南部の暖帯の人里近くの陽地に多い。栽培されるコウゾは雌雄異株で,野生のものより壮大で枝も太く,カジノキとの雑種といわれる。それに対し,野生のコウゾはヒメコウゾと呼んで区別される。和紙の原料には,現在では栽培のコウゾが用いられるが,昔はヒメコウゾも粗紙の原料とされた(楮紙)。さらに古くは布(木綿(ゆう),太布(たふ),栲(たえ))を織るのにも用いられた。果実は甘くて食べられるが,口の中がざらつく。

 カジノキB.papyrifera(L.)Vent.(英名paper mulberry)は時に野生化したものもあるが,人家周辺に栽培される落葉高木。枝や葉に毛が多く,葉は大型で,深く切れ込むことがある。雌雄異株。雄花序は長く,尾状で,雌花序は球形。インドから太平洋諸島まで,熱帯・亜熱帯に広く栽培され,日本に及ぶ。樹皮の繊維を製紙に利用するほか,南方では樹皮をたたいて伸ばしタパと呼ばれる布をつくる。また果実はコウゾよりはるかに大型で,食用としての利用も可能であり,また楮実(ちよじつ)の名で漢方薬として利用される。

 コウゾ属Broussonetiaは東アジアに3種がある小さい属である。他の1種ツルコウゾB.kaempferi Sieb.も日本の暖地(山口県・四国以南)に自生する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウゾ」の意味・わかりやすい解説

コウゾ
こうぞ / 楮
[学] Broussonetia × kazinoki Sieb.
Broussonetia kazinoki × B. papyrifera Vent.

クワ科(APG分類:クワ科)の落葉低木。樹皮の繊維を紙の原料とするために栽培する。クワによく似た木で、高さ約6メートル。葉は先のとがった卵形であるが、深く2~3裂、もしくは5深裂するものがあり、縁(へり)には鋸歯(きょし)がある。雌雄異株で、春に多数の小花を、雌花では球状に、雄花では円柱状につける。本州から沖縄、および朝鮮半島、中国に分布する。果実は小核果が球状に集まったもので、初夏に赤く熟し、甘味があり生食でき、果実酒にもする。

 繁殖は根分けによって行われ、早春に植え付け、冬、2メートルほどに伸びた枝を根際から切り取り、それを束ねて蒸気で蒸して皮をはぐ。この皮を乾燥させたものを黒皮とよぶ。黒皮から表皮や古い繊維層を取り除いたものを白皮といい、この白皮が和紙の原料となる。コウゾの繊維は、紙をつくる植物繊維のなかでもっとも長い。そのため強靭(きょうじん)で、長く保存のきく美しい和紙がつくられ、障子紙や表具用紙、傘紙などに適している。

 コウゾはヒメコウゾB. kazinoki Sieb.とカジノキB. papyrifera Vent.との雑種と考えられている。ヒメコウゾやカジノキも枝の靭皮繊維を手漉(てす)き和紙の原料とし、古代にはこれらの繊維で布をつくり、ゆふ(木綿)といった。

[星川清親 2019年12月13日]


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化学辞典 第2版 「コウゾ」の解説

コウゾ
コウゾ
kozo, paper mulberry

クワ科カジノキ属に属する落葉低木.日本,朝鮮,中国,台湾に自生するカジノキとヒメコウゾの雑種であり,栽培して靭皮繊維を和紙の原料とする.繊維は強靭で,単繊維は長さ6~20 mm,幅0.01~0.03 mm である.コウゾを原料とする和紙はコウゾ紙といい,古くから抄造されており,正倉院御物にも含まれる.奉書,檀(だん)紙,典具紙,書院紙などがつくられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のコウゾの言及

【土佐紙】より

…なお,現在の伊野町に属する成山に御用紙すきがいて高級紙をすいていた。明治時代に,御用紙すきの出身といわれる吉井源太らは,6枚すきなどの簀桁(すげた)の大型化,大きな紙の乾燥に適した馬毛はけなどの用具の改革や,ガンピ(雁皮),ミツマタ(三椏),コウゾ(楮)による薄紙を中心にした工業用紙をくふうして,高価な輸出紙の販路を開拓した。薄い雁皮紙は謄写版原紙としてそのまま生かされた。…

※「コウゾ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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