係結(読み)かかりむすび

精選版 日本国語大辞典 「係結」の意味・読み・例文・類語

かかり‐むすび【係結】

〘名〙 主に文語で、文中係助詞が使用されたとき、それが文末の結び方(活用語の場合活用形)に影響を及ぼす呼応関係。「ぞ・なむ・や・か」または「こそ」(係り)に呼応して、その文を終止する述語である活用語が、それぞれ連体、已然の各活用形をとる(結び)現象をさす。「声聞く時ぞ秋は悲しき」「柿本人麿なむ歌の聖なりける」「春やとき花やおそき」「新治筑波を過ぎて幾夜か寝つる」「祝ふ今日こそ楽しけれ」など。ただし、「や」「か」については、感動を表わす場合に限って終止形で結ぶ。また、受ける語が次に続いていく時には結びが表われない。平安末期ごろ活用語の連体形と終止形の同一化傾向が現われるとともに、連体終止の係結び消滅に向かい、已然終止の型もその後を追うことになる。広義の係結びの中には「は」「も」と終止形の呼応、さらには禁止の助詞「な」と連用形の呼応を入れることもある。→係助詞(かかりじょし)。〔詞玉橋(1826‐46)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「係結」の意味・わかりやすい解説

係結
かかりむすび

文中に一定の係助詞 (係り) が存在する場合,その文の終止にはそれぞれに呼応した,終止形以外の活用形をとる (結び) という,文語文における規則。具体的には次の2つから成る。 (1) ゾ (古形ソ) ,ナム (古形ナモ) ,ヤ,カの係りに呼応する文の結びは連体形をとる。 (2) コソの係りに呼応する文の結びは已然形をとる。なお,ハ,モに対しては終止形で受けるが,これも係結に加える説もある。終止形で文を終える「通常終止法」に対し,連体形・已然形で終えるのを「曲調終止法」という。文を終止する節以外ではこの呼応は生じない。これを「結びの消去 (流れ) 」という。係結は平安時代に確立したものであるが,鎌倉時代になると,終止形に代って連体形が一般の文の終止に使われるようになって (1) の法則が失われ,(2) も従属節内では室町時代末期まで行われたが,以後すたれた。現代語の係結は琉球方言など,いくつかの方言にしかみられない。

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