天当船(読み)てんとうぶね

精選版 日本国語大辞典 「天当船」の意味・読み・例文・類語

てんとう‐ぶね テンタウ‥【天当船・伝道船・天舟・天道船】

〘名〙
淀川三十石船に代表される船首のとがった川船。淀川では大型のものを過書船(かしょぶね)として区別するが、基本的には変わりはない。天道丸。
※俳諧・小町踊(1665)夏「あしはやき天道船かなつの月〈立圃〉」
② 小廻し廻船や漁船として用いる二枚棚の典型的和船。二、三十石積から百石積までの小型が多く、全国的に流布しているため、船型・構造は地方により多少異なる。
※田名部海辺諸湊御定目(1781)諸湊地他着船御役付「辨財船・与板船・天当船 右之類百石に付拾匁御定」
仙台藩など東北地方の一部で、千石積級の大船までを含む大型廻船のこと。船首のつき出た弁財船系廻船の地方的呼称
※風土記御用書出(1774)「天当船 弐艘 内一」

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改訂新版 世界大百科事典 「天当船」の意味・わかりやすい解説

天当船 (てんとうぶね)

近世から近代にかけて日本の各地で最も広く使用されていた和船。〈天当〉の字をあてたものが多いが,近世の文献には天,天道,伝道ともあてている。大きさは地方によって異なり,富山湾では長さ9尋(約13.6m),肩幅9尺(約2.7m),5挺櫂(かい)7人乗りのものであったといい,宮城県荒浜のものは16人乗りであったという。いずれにしてもかんこ船さんぱなどよりははるかに大きい船で,漁船よりはむしろ運搬船として使われていた。
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