炭疽(脾脱疽)(読み)たんそひだっそ(英語表記)Anthrax

家庭医学館 「炭疽(脾脱疽)」の解説

たんそひだっそ【炭疽(脾脱疽) Anthrax】

[どんな病気か]
 炭疽菌という細菌の感染によっておこる病気で、本来は、ウマ、ウシヤギ、ブタなどの病気ですが、人獣共通の伝染病で、人間にも感染し重い病気をおこします。
 致命率が高いので、感染症予防法で4類感染症に指定されていますが、日本での発生は、年間数名~20名程度です。畜産のさかんな南欧、オーストラリア、南北アメリカ、アフリカなどの温暖な国々には多い病気です。
 炭疽にかかったウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジなどから直接、感染したり、これらの動物の毛や皮革を扱う際に感染したりしますが、ときに肉を食べて感染することもあります。
[症状]
 感染経路によって、3つの病型になります。
①顔、くび、手などの小さな傷から菌が侵入すると、そこが潰瘍(かいよう)になり、高熱の出る皮膚炭疽になります。
②空気とともに菌を吸入した場合は、高熱、せき、膿(うみ)や血のまじったたんが出て呼吸困難になる肺炭疽になります。
③食物とともに菌が口から入ると、高熱、嘔吐(おうと)、腹痛、膿や血のまじった下痢(げり)などがおこる腸炭疽になります。
[治療]
 ペニシリンテトラサイクリンなどの抗生物質が有効で、手おくれにならなければ治ります。
 炭疽にかかった家畜は殺して焼却し、汚染物は焼却するか厳重に消毒します。原因不明の病気にかかった家畜の肉は食べるのをやめます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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