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ペニシリン penicillin

翻訳|penicillin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ペニシリン
penicillin

代表的な抗生物質。 1928年,イギリスの A.フレミングアオカビから発見し,その後ペニシリンの単離と抽出の技術が開発されて,抗生物質の急速な進歩のさきがけとなった。主としてグラム陽性菌,レンサ球菌,肺炎菌,淋菌,髄膜炎菌などの感染症の治療に用いられる。副作用は軽度の発疹,発熱など。注射中または注射後数分以内に頭痛,発汗,胸内苦悶,血圧下降などの症状を呈することがある (ペニシリンショック) ので,過敏体質の患者には禁忌である。臨床に用いられているペニシリンの合成品は種々ある。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ペニシリン

薬として発見された初の抗生物質。肺炎や梅毒、全身にばい菌が巡り重症になる敗血症など幅広い感染症に使われる。

(2017-04-19 朝日新聞 夕刊 夕刊be水曜1面)

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百科事典マイペディアの解説

ペニシリン

世界で最初に発見された抗生物質。1929年A.フレミングがアオカビの一種の培養液中に,グラム陽性菌の発育を阻止する物質を発見し,ペニシリンと命名。1940年E.チェーン,H.フローリーらが臨床的に有効なことを報告(〈ペニシリンの再発見〉。
→関連項目エリスロマイシン回帰熱化学療法サルバルサン猩紅熱脊髄癆テトラサイクリンファイザー[会社]フローリー淋病

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栄養・生化学辞典の解説

ペニシリン


 グラム陰性菌の発育阻止作用がある抗生物質.ペニシリンGカリウム塩 (C16H17KN2O4S (mw372.49)) など諸種の化合物がある.

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世界大百科事典 第2版の解説

ペニシリン【penicillin】

世界で最初に発見され,最初に臨床に応用された抗生物質。その後も改良が続けられて,その医薬品としてのすぐれた性質のため,この群に属する抗生物質は現在でも細菌感染症の治療薬として第1位の座を占めている。 1928年,イギリスのA.フレミングは,偶然に混入したアオカビPenicillium notatumがブドウ球菌の発育を抑えていることを見つけ,このカビがグラム陽性菌に対する強い抗菌性物質を産生していること,さらにそれは低毒性であることを認め,この物質をペニシリンと名づけた。

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大辞林 第三版の解説

ペニシリン【penicillin】

1928年、イギリスの微生物学者 A =フレミングが青かびの一種から発見した抗生物質。肺炎・淋疾など多くの細菌性疾患に優れた効果を示す。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ペニシリン
ぺにしりん
penicillin

治療薬として最初に使われた抗生物質。1928年、イギリスの細菌学者フレミングが、ブドウ球菌の培養中に偶然アオカビが培地に混入してその周辺でブドウ球菌の溶菌現象がおこっているのを認め、このアオカビPenicillium notatumの培養液中に抗菌作用を示す物質のあることを発見、その物質をペニシリンと命名した。しかし、熟練した化学者の協力がなく、治療価値を調べられる程度まで濾液(ろえき)を精選濃縮することができないまま約10年間も放置されていた。かくして1940年に至り、イギリスの病理学者フローリーと生化学者チェインらによって初めて粉末状に分離され、化学的に安定な形で使われるようになり、ヒトのグラム陽性菌感染症にすばらしい治療効果を示すことが実証され、抗生物質時代の幕開きとなった。これをペニシリンの再発見とよんでいる。
 ペニシリンは当初単一物質と考えられていたが、F、G、X、Kの4種が混在していることがわかり、そのうちG(ベンジルペニシリン)が生物学的活性および安定性において優れていることが明らかとなった。現在、ペニシリンには天然(生合成)ペニシリンと合成ペニシリンとがあり、それぞれ経口用と注射用に分けられている。
 天然ペニシリンには、主として注射用に使われるベンジルペニシリンカリウムやベンジルペニシリンプロカイン、経口用のベンジルペニシリンベンザチンやフェノキシメチルペニシリンカリウムがある。
 一方、ペニシリンの母核である6-アミノペニシラン酸の合成に成功(1957)し、現在のペニシリン製剤の大部分は合成ペニシリンになった。初めはペニシリンの欠点である耐性菌やアレルギーの発生の少ないものとして、クロキサシリン、ジクロキサシリン、メチシリンなどが開発されたが、現在ではグラム陽性菌ばかりでなく、グラム陰性菌にも有効なアンピシリンより始まる合成ペニシリンが主流を占め、アモキシシリン、タランピシリン、バカンピシリン、カルフェシリン、カリンダシリン、ヘタシリン、シクラシリン、カルベニシリン、スルベニシリン、チカルシリン、ピペラシリン、メズロシリンがあり、緑膿(りょくのう)菌にも有効なものが開発された。
 なお、ペニシリンは化学構造上、基本骨格にβ-ラクタム環をもつところから、同じくβ-ラクタム環をもつセファロスポリン系抗生物質とともに、β-ラクタム系抗生物質とよばれている。[幸保文治]

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世界大百科事典内のペニシリンの言及

【化学療法】より

…まもなく,このプロントジルの有効成分は体内で分解されて生ずるスルファニルアミドであることがわかり,以後今日まで,その誘導体は数千種以上も合成され,そのうちサルファ剤の総称で各種細菌性疾患の治療に用いられてきたものも多数に及ぶ。このドーマクの発見に先だつ1929年,イギリスのA.フレミングは,たまたま寒天培地上の黄色ブドウ球菌の集落が,その周辺にできたアオカビの集落によって溶けることを観察し,アオカビの培養濾液の中に各種細菌の発育を阻止する物質(ペニシリン)のあることを報告した。10年後,この報告から出発してイギリスのチェーンErnst B.Chain(1906‐79)とフローリーHoward W.Florey(1898‐1968)は,ペニシリンの再検討と実用化にのり出し,さらにアメリカの協力を得て工業生産にも成功した(1941)。…

【抗生物質】より

…日本では,これに〈抗生物質〉という語をあてている。1929年のA.フレミングによるペニシリンの発見,38年から41年にかけてのH.W.フローリーらによる〈ペニシリンの再発見〉以降,新しい抗生物質の探索が世界的に始まった。したがって,抗生物質という言葉も物質も比較的新しいものである。…

【梅毒】より

…1910年P.エールリヒ,秦佐八郎によって有機ヒ素剤であるサルバルサンが開発され,初めての化学療法剤として梅毒の治療に用いられたが,治療効果は不十分であり,副作用が多発した。40年代以降は,梅毒に対してはペニシリンを中心とする抗生物質による治療が行われるようになった。ペニシリンの治療効果は優秀であり,現在でもなお,梅毒の治療にはペニシリン中心の抗生物質療法が実施されている。…

【フレミング】より

…第1次大戦の勃発とともに陸軍軍医団に加わり,フランスの野戦病院に派遣されたが,18年再び母校に戻り,29年に細菌学教授となった。早くから抗細菌性物質の研究を行い,1922年には溶菌酵素,リゾチームの発見などの業績をあげたが,最大の功績はペニシリンの発見であった。28年,使用済みとして放置しておいたブドウ球菌の培地にカビが混入し,そのカビの周りでは菌の発育が阻止されていることに気づき,そのカビを培養して得られたブドウ球菌発育阻止物質にペニシリンと名づけ,翌29年に発表した。…

【フローリー】より

…25年アメリカに遊学した後,27年イギリスに戻り,28年ケンブリッジ大学病理学講師となり,シェフィールド大学病理学教授(1931),オックスフォード大学病理学教授(1935)。チェーンE.B.Chainとともに,A.フレミングが1929年に報告したペニシリンの研究に着手し,ペニシリンの性状を明らかにするとともに,40年には動物の連鎖球菌感染症のペニシリンを用いた治療実験に成功した。41年アメリカに渡り,研究所や製薬会社を訪れ,ペニシリンの研究に関心を抱かせ大量生産の緒をつくった。…

【明治製菓[株]】より

…43年明治産業(株)と改称。第2次大戦後は農畜水産加工品の生産から開始するとともに,戦争末期から手がけていたペニシリンの製造を46年から始め医薬部門に進出した。47年には社名を元に戻し明治製菓(株)とし,砂糖,小麦粉などの統制撤廃とともに50年前後から菓子の本格的製造を再開。…

※「ペニシリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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