生産緑地制度(読み)せいさんりょくちせいど

百科事典マイペディア 「生産緑地制度」の意味・わかりやすい解説

生産緑地制度【せいさんりょくちせいど】

1974年の生産緑地法で,市街化区域内でも農業を継続する意思のある者の農地は,都市計画法上も保全すべきものとして計画的に残地指定し,農地としての安い課税におさえた。しかし大都市圏の地価高騰と住宅問題の激化で,1991年の生産緑地法改正によって,三大都市圏の市街化区域内の農地は,宅地化するものと保全されるものに区分された。宅地化する農地には固定資産税が宅地なみに課せられ,農地に特例として認められている相続税の納税猶予措置が廃された。保全する農地は所有者の申請により生産緑地に指定されるか,市街化調整区域編入がえとなった。生産緑地に指定された農地には固定資産税の宅地なみ課税は適用されず,相続税納税猶予措置も継続されたが,30年間の営農継続の義務が課せられている。生産緑地は都市部の環境保全や災害防止への期待がこめられている。この制度により,三大都市圏市街化区域内の農地の約30〜50%が生産緑地に申請された。申請は1992年12月で締め切られたが,近年地価の下落が続き,追加申請を求める声が多くなっている。一方,1996年末の経済審議会は,制度の廃止を示唆している。

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