生産緑地(読み)セイサンリョクチ

デジタル大辞泉 「生産緑地」の意味・読み・例文・類語

せいさん‐りょくち【生産緑地】

市街化区域内の土地で、環境保全などの目的生産緑地法により指定される農地採草放牧地森林・漁業用池沼など。

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共同通信ニュース用語解説 「生産緑地」の解説

生産緑地

急速な都市化が進む中で、市街地の良好な生活環境を確保するため、1992年から指定が始まった農地。市街地にある農地は固定資産税が住宅並みに課税されるが、指定されると通常の農地と同様の低い税率が適用される。相続税も猶予措置がある。国は農地存続のため、税制優遇が延長される「特定生産緑地」制度新設。建築規制も緩和し、農産物の加工施設などを設置可能にした。

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精選版 日本国語大辞典 「生産緑地」の意味・読み・例文・類語

せいさん‐りょくち【生産緑地】

  1. 〘 名詞 〙 農地、林地牧草地、養漁池など。昭和四九年(一九七四制定の「生産緑地法」では、市街化区域内の農地および森林をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「生産緑地」の意味・わかりやすい解説

生産緑地 (せいさんりょくち)

生産緑地法(1974公布)に基づき指定される市街化区域内の土地または森林。都市計画法改正で,都市計画地域は市街化区域と市街化調整区域に区分され,市街化区域は原則として宅地化されることになった。これにより都市近郊の農地はそのほとんどが宅地化されることになったわけであるが,(1)農業を今後とも継続したいという農家があること,(2)公害や災害に備えるとともに良好な都市環境を守る,という点から計画的に農業地区を残すことが望ましいということから,生産緑地法が制定されるに至った。それはまた将来必要になる都市施設用地を確保する目的ももっている。同法の改正にともなって,生産緑地地区とはおおむね500m2以上の規模の区域をいう。

 生産緑地については,固定資産税の減免(いわゆる〈農地の宅地なみ課税〉の適用除外)等税制上の優遇措置が図られている。一方,生産緑地地区内においては原則として,建築物その他の工作物の新築,改築または増築,宅地の造成,土石の採取その他の土地の形質の変更,水面の埋立てまたは干拓といった行為は,市町村長の許可を受けなければしてはならない。その後,1992年からの長期営農継続農地制度の廃止にともなって生産緑地法が改正され,市街化区域内農地は92年12月までに生産緑地地区の指定を受けないと今後は指定をしないことになった。指定を受けた生産緑地の所有者は,指定後30年経過するか,もしくは農林漁業の主たる従業者が死亡したりした場合は,市町村長に土地の時価での買取りを申し出ることができる。95年1月現在,三大都市圏の特定市において生産緑地地区の指定を申請した農地は全体の36%となっている。
農地
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生産緑地」の意味・わかりやすい解説

生産緑地
せいさんりょくち

防災や環境保全のため市街化区域内で農地や林地として守るべき土地。市区町村が生産緑地法(昭和49年法律第68号)に基づいて指定する。面積500平方メートル以上で30年間の営農義務があり、宅地造成できない。固定資産税や相続税などの優遇措置がある。全国に約1万3000ヘクタール(2016年末)ある。

[矢野 武 2018年8月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生産緑地」の意味・わかりやすい解説

生産緑地
せいさんりょくち

都市における良好な生活環境の保全や都市災害の防止,あるいは将来の公共施設整備に対する土地の確保を目的として,市街化地域内の農地を対象に指定される地区。この地区指定により,農地所有者は営農義務が生じるが,固定資産税の免税措置が図られる。なお,生産緑地法の改正により,1992年から生産緑地の指定は 30年以上営農継続の意志のある場合に限られ,それ以外は宅地並み課税となった。

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世界大百科事典(旧版)内の生産緑地の言及

【緑地】より

…以上のことを考慮するとき,緑地の今日的意味は〈生物学的原理の支配的な,永続性をもった非建蔽空間〉ということができる。都市内に存在する緑地としては公共緑地(公園,運動場,広場,緑道,墓園など),自然緑地(河川,湖沼,海浜,樹林など),生産緑地(水田,畑,林地,草地など),公開緑地(社寺境内,公益施設付属園地など),共用緑地(共同住宅園地,工場緑地,学校・企業厚生施設など),専用緑地(個人庭園,試験圃場(ほじよう)など)がある。公園【井手 久登】。…

※「生産緑地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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