生雲村(読み)いくもむら

日本歴史地名大系 「生雲村」の解説

生雲村
いくもむら

[現在地名]阿東町大字生雲東分いくもひがしぶん・大字生雲西分いくもにしぶん・大字生雲中いくもなか

阿武川の支流生雲川の全流域に点在する集落と、同じく阿武川とその支流の三谷みたに川流域の集落よりなる大村。村域の大部分は山地で、大蔵おおくらヶ岳・石洞いしどうヶ岳・黒獅子くろじし山・牝竜めんたき山・八幡やはたさこ山・なめら山・大将たいしよう山など標高六〇〇―八〇〇メートルの山が四周を取り巻く。西は蔵目喜ぞうめき川上かわかみ(現川上村)篠目しのめ、北は高佐たかさ吉部きべ(現むつみ村)、東は嘉年かね地福じふくの村々に囲まれ、南は野谷のたに(現佐波郡徳地町)仁保上郷にほかみごう(現山口市)。奥阿武宰判所属。

文和元年(一三五二)八月一三日付の、萩の大井おおい八幡宮の宮座文書「御祭礼郷々社頭座敷本帳之事」に、右座八番として「生雲郷」がみえる。天文二一年(一五五二)九月一六日付の池永八左衛門家文書(「閥閲録」所収)には「修理進(池永)重忠一跡事 任去明応八年八月十七日凌雲寺殿(大内義興)裁許、長門国阿武郡生雲郷内弐拾五石足屋敷分加之、天文十四年三月十六日竜福寺殿証判等之旨、池永虎千代相続不可有相違之状如件」とあり、生雲郷の二五石足の地を大内晴英が安堵している。「注進案」に「当村之義は往古は大庄にて枝村多く有之候由、生雲庄、生雲村、渡川村、篠目村、細野村天子村鉛山村、銅村、大山村など申候処、いつの頃よりか篠目村は山口御宰判へ被成御付、鉛山 銅 大山の三ケ村を裁て只今にては蔵目喜村と申候、渡リ川村 天子村 細野村ハ生雲村の枝郷として壱村の内にて御座候」とあるとおり、中世以来の生雲郷(庄)はのちの蔵目喜村・篠目村をも含む広範な地であったらしい。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の生雲村の言及

【阿東[町]】より

…山口県北部,阿武郡の町。日本海に入る阿武川の上流部を占め,島根県津和野町に接する山間農村地域。1955年嘉年(かね),徳佐,地福,篠生(しのぶ),生雲(いくも)の5村が合体,改称,町制。人口9133(1995)。町役場所在地の徳佐は近世の石州街道に沿う市場町として発達した所で,現在国道9号,JR山口線が通り,阿武郡東部の中心をなす。県境の野坂火山群による堰塞(えんそく)湖盆だった徳佐盆地は県北部最大の稲作地域であり,近年は果樹栽培や酪農も盛んで,鍋倉のリンゴや長門峡付近のナシは観光農業としても成功している。…

※「生雲村」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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