神作(読み)シンサク

デジタル大辞泉 「神作」の意味・読み・例文・類語

しん‐さく【神作】

神の作ったもの。また、神の作ったようなすばらしいもの。
大坪流馬術の祖道禅が常陸ひたち鹿島神宮に祈り、神伝によって作ったという精巧なくらあぶみなど。
十作じっさく以前の聖徳太子弘法大師など伝説的な面打ちの作とされる能面。また、その面打ち。

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精選版 日本国語大辞典 「神作」の意味・読み・例文・類語

しん‐さく【神作】

〘名〙
① 神の作ったもの。
読本・椿説弓張月(1807‐11)続「卿(なんじ)もしれるごとく、件(くだん)の碑(いしふみ)は、国祖天孫氏(くにつみおやてんそんし)の建給ふところにして、実に神作(シンサク)古物なり」
② 大坪流馬術の祖、道禅が、常陸国(茨城県)の鹿島神宮に祈り、神の教えにしたがって製したという、精巧な鞍(くら)、鐙(あぶみ)などの称。〔随筆・本朝世事談綺(1733)〕
③ 室町時代に活躍した一〇人の能面作家(十作という)より以前の、聖徳太子・淡海公・弘法大師・春日止利)など伝説的面打をふくめて、古代のすぐれた能面作家およびその作品をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「神作」の意味・わかりやすい解説

神作 (しんさく)

伝説的な一群の能面作者の呼称近世の能面作家たちのあいだでは,古い時代の作家の格付けが伝承されていたが,ふつう十作六作,中作などと古い順に作家名をあげる。しかしこれらは南北朝以後の,かなり実在性のあるもので,それ以前のもっと伝説的な人名をあげ,これを神作ということがある。聖徳太子,淡公,弘法大師,春日などが神作と呼ばれ,1797年(寛政9)の喜多古能(9世七太夫)著《仮面譜》は神作を挙げる代表的なものである。
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