十作(読み)ジッサク

関連語 田辺

精選版 日本国語大辞典 「十作」の意味・読み・例文・類語

じっ‐さく【十作】

  1. 鎌倉時代から、室町時代の能楽大成期にかけて活躍したと推定される、名高い一〇人の能面作者。すなわち、日光・彌勒(みろく)夜叉(やしゃ)福原文蔵・龍(辰)右衛門赤鶴(しゃくづる)氷見(ひみ)越智(えち)・小牛(こうし)・徳若の一〇人。

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改訂新版 世界大百科事典 「十作」の意味・わかりやすい解説

十作 (じっさく)

近世の能面作家たちのあいだで伝承されている古い時代の作家の格付けの一つで,〈最初の最大の10人の作家〉というほどの意味である。その作家名は伝書によって多少異なるが,日光,弥勒,夜叉,文蔵,小牛(こうし),赤鶴(しやくつる),竜右衛門,日氷(ひみ),越智,三光坊とするもの,このうち三光坊のかわりに徳若をいれるものなどがあり,最初の日光と弥勒は神作に近い伝説の人物であるが,以下はおよそ南北朝から室町時代に実在した作家と考えられる。
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百科事典マイペディア 「十作」の意味・わかりやすい解説

十作【じっさく】

南北朝〜室町時代の代表的能面作者10人をさし,神作に次ぐ名工とされる。日光,弥勒(みろく),夜叉(やしゃ),福原文蔵,竜右衛門赤鶴(しゃくつる)吉成,氷見(ひみ)宗忠,越智吉舟,小牛清光徳若忠政。越智吉舟の代りに石王(しゃくおう)兵衛とする説もある。彼らの作品は伝説や後世鑑定によるものが多く,確実なものはほとんどない。

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