神荼鬱塁(読み)しんとうつりつ

精選版 日本国語大辞典 「神荼鬱塁」の意味・読み・例文・類語

しんと‐うつりつ【神荼鬱塁】

古代中国伝説で、門をつかさどる兄弟二神の名。東海中の度朔山三千里の広さにはびこる桃の大木があり、その東北鬼門に住んで、出入りする鬼を検査し、悪鬼をとらえて虎に食わせるという。中国では、年末にその像を門にはって門の神とする。しんとうつるい。〔書言字考節用集(1717)〕 〔論衡‐訂鬼〕

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改訂新版 世界大百科事典 「神荼鬱塁」の意味・わかりやすい解説

神荼・鬱塁 (しんとうつるい)
Shēn shū, Yù lǜ

旧中国において歳末になると,入口左右の扉にはって魔よけとした門神の像の名。〈しんとうつりつ〉とも読む。2神はもと人に災いをなす鬼(亡霊)を葦の縄でしばり,虎に食わせた兄弟であるという(《風俗通》祀典篇)。2神の信仰は後漢以降とされ,初め桃の木で作られた人形であったが,六朝後半には,すでに絵となり,後世,美しい印刷物となった。清代,一般に甲冑に身をかためた武将像の門神が用いられ,俗説に2神のことともいう。
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世界大百科事典(旧版)内の神荼鬱塁の言及

【モモ(桃)】より

…あるいは東海中の度朔山には3000里に蟠(わだかま)る桃の大樹(蟠桃とも呼ばれる)があり,その枝の東北部分のすきまが門になっていて,万鬼が出入りする(すなわち鬼門)。その門に神荼(しんと)・鬱塁(うつるい)の二神がいて悪鬼の侵入を防ぐが,それが上述の門口に桃の人形を懸ける風習の起源になったと説明される。また初期の道教経典に,天地の中央の玉京山に高さ390万億里の桃の木が生えるとあるのも,世界樹としての桃である。…

※「神荼鬱塁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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