開かれた処女地(読み)ひらかれたしょじょち(英語表記)Podnyataya tselina

日本大百科全書(ニッポニカ) 「開かれた処女地」の意味・わかりやすい解説

開かれた処女地
ひらかれたしょじょち
Поднятая целина/Podnyataya tselina

ロシアの作家ショーロホフの長編小説。第一部は1932年、第二部は60年に発表。農業集団化の政策を実行する任務を帯びてドン川流域のグレミャーチイ・ローグ村に派遣された党員労働者ダビドフを主人公に、富農・中農・貧農利害対立農村の内包する土着性や封建制、さまざまな矛盾と困難をはらみつつ進行する農村の改造を描きながら、反革命敗北、集団化の成功と同時に主人公は射殺されるという歴史の悲劇を表現した重厚な作品。

水野忠夫

『横田瑞穂訳『ひらかれた処女地 第1・2部』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「開かれた処女地」の意味・わかりやすい解説

開かれた処女地
ひらかれたしょじょち
Podnyataya tselina

ソ連の作家 M.ショーロホフの長編小説。第1部は 1930~32年執筆,第2部は 60年に完成,30年を費やして完結した。金属工のダビドフは,30年1月のある夜,集団農場をつくる任務で党地区委員会から派遣され,レニングラードからドン川流域のグレミャーチーローク村にやってくる。彼は村の党細胞書記やソビエト議長とともに貧農の集会を指導し,富農の財産を没収するが,中農や富農は農業集団化の政策に反対し,暴動を起す。最後に反革命の陰謀は打ち破られ,集団化は成功するが,ダビドフと細胞書記は射殺される。

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