陰極線ルミネセンス(読み)インキョクセンルミネセンス

化学辞典 第2版 「陰極線ルミネセンス」の解説

陰極線ルミネセンス
インキョクセンルミネセンス
cathode-ray luminescence

陰極線,すなわち高速電子物質に照射したときに生じるルミネセンスをいう.入射した高速電子によって多数の二次電子が生成され,ついでこの二次電子によって電子と正孔の生成あるいは発光中心の励起が起こる.その発光スペクトルホトルミネセンスの場合とほぼ同じであるが,励起が物質表面で起こり,励起密度が高いために,発光の動的過程で支配される特性(二つ以上の発光帯間の相対強度,非放射過程が関与する発光効率,残光特性など)は異なる.各種ブラウン管としてのディスプレイに広く応用され,それぞれの要求に応じた種々の蛍光体が用いられる.白黒テレビジョン用受像管としてZnS:Ag(青色) + (Zn,Cd)S:Ag(黄色)など,カラーテレビジョン用受像管としてZnS:Ag(青色) + (Zn,Cd)S:Ag(緑色) + Y2O3Eu(赤色)など,レーダー用ブラウン管として(Zn,Cd)S:Cu+ZnS:Agなど,暗視管(ノクトビジョン)としてZn2SiO4Mnなど,電子顕微鏡用としての(Zn,Cd)S:Agなどがその例である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陰極線ルミネセンス」の意味・わかりやすい解説

陰極線ルミネセンス
いんきょくせんルミネセンス
cathode-ray luminescence

物質に陰極線 (電子ビーム) を照射したときに生じる光。テレビジョン受像管や陰極線オシロスコープの映像面の発光はこの例である。ルミネセンス光は,陰極線電子の照射により,ケイ光体などの内部に生じた正孔が電子と再結合するときに生じる。エネルギー効率はせいぜい 20%と低いが,入射電子あたりの発光光子数は多く,局所的な刺激密度が高い。

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