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ルミネセンス ルミネセンスluminescence

翻訳|luminescence

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ルミネセンス
luminescence

物質が光,X線,放射線などの刺激を受けて,そのエネルギーを吸収し,それを光として放出する現象のなかで,熱放射チェレンコフ放射レイリー散乱ラマン散乱 (→ラマン効果 ) などの特殊なものを除いた発光現象をさす。初めに与えられる刺激の種類により光ルミネセンスX線ルミネセンス化学ルミネセンス摩擦ルミネセンス陰極線ルミネセンス,エレクトロルミネセンスなどの呼び名がある。ケイ光やリン光がルミネセンスの主要な現象であるので,冷光ということもある。

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デジタル大辞泉の解説

ルミネセンス(luminescence)

物質が外部から光・熱・紫外線X線などのエネルギーを吸収して励起され、基底状態に戻るときに、熱を伴わずに発光する現象。また、その光。光の減衰時間が短い蛍光と長い燐光(りんこう)に分けられる。冷光。ルミネッセンス

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百科事典マイペディアの解説

ルミネセンス

一般に物質を加熱すると電磁波を放出し,その電磁波のエネルギーやスペクトル分布は物質の種類と温度だけできまる(熱放射)。しかし種々の刺激により熱放射と異なる光を発することがあり,この現象をルミネセンス,また高熱を伴わないため冷光ともいう。
→関連項目陰極線化学ルミネセンスストークスの法則放電灯

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栄養・生化学辞典の解説

ルミネセンス

 冷光ともいう.物質が高温になることなく発光する現象で,ホトルミネセンス,陰極ルミネセンス,X線ルミネセンス,化学ルミネセンスその他がある.蛍光,リン光に分類することがある.

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世界大百科事典 第2版の解説

ルミネセンス【luminescence】

物質が吸収したエネルギーの一部または全部を光として放出する現象。高熱を伴わないことから冷光とも呼ばれる発光スペクトルが物質のエネルギー準位とは無関係に発光体の温度のみにより定まりプランクの放射則によって記述される場合を除き,選択的に物質のエネルギー準位の一つ,あるいはいくつかを励起した場合の発光現象をいう。主として,可視や近紫外域に発光スペクトルのある場合を指すが,これらの発光は,励起された物質の電子が基底状態に戻るとき,そのエネルギーの差を光(電磁波)として放出するもので,すなわち電子準位間の遷移によって起こる。

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大辞林 第三版の解説

ルミネセンス【luminescence】

物質がエネルギーを吸収して励起されたのち、基底状態に戻るときに発光する現象。また、その光。熱放射以外の放射で、吸収されるエネルギーの種類により、光ルミネセンス・ X 線ルミネセンス・化学ルミネセンス・摩擦ルミネセンスなどがある。蛍光とリン光とがある。冷光。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ルミネセンス
るみねせんす
luminescence

物質が吸収したエネルギーの一部または全部を光として放出する発光現象。高温に熱せられた物体からの発光現象である熱放射およびα(アルファ)線や陽子(プロトン)などの荷電粒子が物質中を貫通するときの発光現象であるチェレンコフ放射以外の電気的、化学的、機械的、生物的などのいろいろな原因で発せられる広範な発光現象をさす。熱放射ほど熱くないので冷光とよばれることもある。[中島篤之助]

分類

ルミネセンスは物質へのエネルギーの与え方によって次のように分類される。
(1)エレクトロルミネセンス 電場を加えることにより気体・液体・固体などが発光する現象で、放電に伴う発光などがその例である。
(2)光ルミネセンス 紫外線あるいは可視光線の照射により発光するもので、大多数の蛍光体やリン光体の示す発光現象である。蛍光灯や蛍光塗料などがその例である。
(3)熱ルミネセンス 蛍光体に刺激を与えて励起し、その刺激を絶ってから温度を上げたときに生ずるルミネセンス。放射線の積分線量を求める熱蛍光線量計(TLD)はこの応用である。
(4)化学ルミネセンス 化学反応に伴って生ずるもので、ルミノール液の酸化の際の発光はこの代表的な例である。ホタルの光などの生物発光もこれに属するとされている。
(5)放射線ルミネセンス X線(γ(ガンマ)線)、電子線、α線、中性子線など高エネルギー放射線の照射により生ずるもので、ブラウン管の発光、夜光塗料やγ線検出器として用いられるヨウ化ナトリウムシンチレーション計数管の発光などはこの例である。
 このほか、砂糖などの結晶を磨砕するときの発光現象である摩擦ルミネセンスや、ある種の溶液に超音波などを作用させると発光する音(おと)ルミネセンスなどがある。[中島篤之助]

発光機構

物質への刺激を停止したあとの発光継続時間を減衰時間といい、その短いものを蛍光、長いものをリン光とする区別が一般的であるが、この区別は明確なものではない。厳密には、発光を伴う放射過程で前後の電子状態のスピン多重度が等しい場合が蛍光であり、異なる場合がリン光である。ナトリウムや水銀蒸気にそれの固有吸収に相当する光を照射すると、吸収された光が可逆的に再放出される。このようにスペクトル的に遷移の許された基底状態と励起状態との間に行われる吸収を共鳴吸収、放出を共鳴放射とよぶが、共鳴放射は蛍光のもっとも単純な場合である。
 ベンゼンやアニリンなどのガス状分子でも、蒸気圧が十分低く、分子相互間の衝突が無視できれば共鳴放射が認められ、鋭い線状蛍光を示す。しかし多くの場合、分子では分子内振動や回転のため帯スペクトルとなり、また周囲分子との衝突で連続スペクトルとなる。このため、発光する光子のエネルギーは、励起に用いた光子のエネルギーに比べて等しいか、または小さくなる。この現象をストークスシフト(ストークスの法則)という。
 液体では高密度と激しい分子運動の存在のために、励起状態の脱活が著しい。そのため、ガス状でルミネセンス発光を示す物質も蛍光を発しなくなる。しかし、その電子状態が周囲からの影響を受けにくいような特別な構造をもった分子(フルオレセイン、アントラセン、ウラニル塩、希土類塩など)は蛍光を示す。またこれらの物質をガラス、高分子中に分散あるいは吸着させたものも蛍光を示す。
 固体に外部から加えられた刺激は、多くの場合は固体内原子の熱運動に転化して光を発することはない。そのためルミネセンスを発生するには、いわゆる「活性中心」を多数含んだ結晶体であることが必要である。結晶発光体はルミネセンス物質としてもっとも重要であり、純度が高くなるほど蛍光の強くなる純粋蛍光体と、賦活(ふかつ)蛍光体に大別される。前者では空格子点などの点状欠陥が、後者では不純物置換原子などが活性中心となる。こういう活性中心が存在すると、注入されたエネルギーで電子がある準位に励起される。励起された状態では原子間隔や格子がエネルギーを最小にするように変化し、すなわち緩和励起状態に移行したのち発光する。発光を伴わず格子振動にエネルギーを与える遷移を無放射遷移という。ルミネセンスは自然放出の発光現象であるが、発光体を共鳴装置内に置いて十分な刺激を与えれば誘導放出をおこさせ、レーザー発振させることができる。[中島篤之助]

賦活蛍光体の例

実用上重要な賦活蛍光体の代表的なものを以下に示す。
(1)ブラウン管用やEL用の硫化物、セレン化物系化合物で、銀賦活・硫化亜鉛ZnS:Ag、銅賦活・セレン化カルシウムCaSe:Cuなど。
(2)周期表上の族化合物でpn接合の半導体素子を形成させ、発光ダイオードとして利用するもの、および半導体レーザーとして光通信などに利用するもの。ヒ化ガリウムGaAs、リン化ガリウムGaPなど。
(3)カラーテレビ用の赤色蛍光体として重要な希土類化合物。ユウロピウム賦活・イットリウムオキシサルファイドYO2S:Euなど。
(4)γ線測定用シンチレーターとして用いられるタリウム賦活・ヨウ化ナトリウムNaI:Tlなどのアルカリハライド蛍光体。
(5)蛍光灯用としての各種の酸素酸蛍光体。マンガン賦活・オルトケイ酸亜鉛Zn2SiO4:Mn、セリウム賦活・リン酸カルシウムCa3(PO42:Ce、マンガン賦活・酸化マグネシウム・五酸化二ヒ素6MgO-As2O5:Mnなど。
(6)ダイヤモンド、鋼玉、蛍石(ほたるいし)、燐灰(りんかい)石などの天然鉱物。[中島篤之助]

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